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あるハリウッド俳優との奇遇な縁

――大病の経験から、他人が自分をどのように思うかについて過敏になってしまうとのお話、わかるような気がします。翻って、古川さんは人から注目される職業である俳優を志し、現在も活躍しておられます。どのような経緯で俳優を目指されたのでしょうか。

古川 小さい頃から比較的活発な方で、高校で盲学校に入学してからも複数の障害スポーツで福井県代表に選出されるなど、体を動かすことが好きなんです。ただ、闘病中にはスポーツはできず、自ずと気分が落ち込みがちになっていたんです。

 そんなとき、あるハリウッド俳優の作品をみて衝撃を受けたんです。偶然にもその人と共通の知り合いがいまして、私の状況を知った本人からメッセージをもらう機会があったんです。それが一番のきっかけですね。「こんな風に他者の人生にポジティブな影響を与えたい」と考えるようになりました。

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――奇遇な縁があったんですね。

古川 はい、本当にたまたまなんですが……。今でもそのときにもらったメッセージは写真で残しています。

――他人が自分をどのように思うかについて過敏なところがあるとのことでしたが、メッセージを受け取った経験をきっかけに考えを変えることができたということでしょうか。

古川 どうでしょうか。正直、障害があることで他人からどう思われるのか、恐れる気持ちは今でもあります。けれどもそれ以上に、人生を諦めなければ、何かいいことが待っているかもしれないということを多くの人に伝えたいんです。

 

 珍しい病気をしなくたって、生きていれば悩むことは誰にでもあると思いますし、その中には自死を選択せざるを得ないほど追い込まれる人もいるじゃないですか。病気を経験して、かつて絶望した時期があるからこそ、近しい状況にある人を励ませるのなら、力を尽くしたいというのが正直な思いですね。

 せっかく生まれてきたのに、死にたくなってしまう。そんな人がいないように、世界を変えたいと本気で思っているんです。