いつか自分も誰かを励ます立場になれたら

――最後に古川さんがこれから俳優として叶えたい夢について聞かせてください。

古川 将来的に“自分の体験”を他の誰でもなく、“自分が演じる”ことで世界に伝えたいという夢があります。これを演じられるのは自分だけだという自負があります。そして、いつか海外の作品に出演して、自分を励ましてくれた尊敬するハリウッド俳優と共演したいですね。今はまだまだですが、いつか自分も誰かを励ます立場になれたらと思って毎日を生きています。

 

 今、社会で辛酸を舐めている多くの人々の活力になれるような俳優になり、「時男も頑張って生きてきたんだから、自分も希望を捨てない」と思わせる説得力のある演技で魅了できる日を願っています。

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 取材中、古川氏が涙をにじませるシーンが何度もあった。決して癒えないトラウマを抱えながらも突き進む氏の人生には摩擦が多く、生傷が絶えないことを予想させる。けれども彼は、偽りのないその真っ直ぐな視線で世界を捉え、同じく苦境に立つ者たちの道標となるべく行動を起こす。

「時男の演技には嘘がない」――芝居仲間たちからそう評される青年の、世界を変えたいと願う本気の声色は澄んでいて、確かにすとんと胸に落ちた。