実際に仕事をドタキャンすると、始業時間から逆算して4~7ポイントのペナルティがつく。それが累積8ポイントに達すると、一時的にアプリの利用を停止されてしまう。無断欠勤は即利用停止で、キャンセル率0%のタイミーさんしか応募できない仕事も多い。これまでの積み重ねで「レベル3」「Good率100%」「キャンセル率0%」と、まあまあのタイミーさんに昇格していたので、ドタキャンでこのステータスに泥を塗るのはちょっと惜しい。

 夕方、予定していた電話取材の折り返しがなく、焦る。このままだと、バイト中に電話がかかってくるかも……。考えてみれば、「仕事のスキマ時間で」って、定時のない記者の仕事とは相容れないのでは。記者にスキマ時間なんてないのでは。

Good率は100%を維持

 もしバイト中に取材相手から電話が来たら、急な腹痛を装ってトイレにでも行こう! と不安な気持ちを振り払って、スキマ時間バイトを強行した。結局、折り返しの電話は、バイトが終わった21時すぎにかかってきた。めでたし、めでたし。

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 宴会場の賄いを食べながら店長が教えてくれたが、雇い手側がタイミーに求人を出す際、費用は一切かからないのだという。その一方で、無事にタイミーさんが見つかり、働いてもらった場合、タイミーさんに支払う交通費を含めた報酬の3割を手数料としてタイミーに納める必要があるのだそうだ。

 3割! そう聞くとたちまちタイミーが悪辣な手配師のように聞こえるが、募集をかける側としてはそれでもメリットは大きいらしい。応募があるかわからない求人広告に高額の掲載料を払ったり、希望者を面接したり、シフトの管理をしたりするより、断然ラクであり、コストの面でも結果的に安く済むという。

 さらに店側としてはタイミーのとある機能がありがたい。応募者に対してNGを出す「ブロック機能」だ。指示に従わなかったり、時には逆ギレしたりする「激ヤバタイミーさん」の出現は避けられぬ事態。そうした要注意タイミーさんと二度とマッチングしないように陰でこっそりブロックしているという。「出禁」や「お断り」、ではなく「ブロック」。店の間口から侵入を試みる粗暴な不良タイミーさんを、ウイルス対策のファイアウォールが弾き返す絵を想像した。

(バイト代:時給1300円 交通費500円 計4617円)