デビュー前は化学メーカーの研究職

――20歳の頃、ご自身の中で変化はありましたか?

 文字通り、性欲が爆発しました。ピークは社会人3年目の頃です。マッチングアプリを使ったり、社内の男性とも関係を持ったり、色々な男の人と会うようになりました。求められるのも喜ばれるのも嬉しくて、不特定多数とすることにあまり罪悪感はありませんでした。その時々に会う男の人たちから、調子よく言われてるだけっていうのはわかってはいたけれど、認められることが嬉しかった。

――デビュー前は、化学メーカーの研究職として仕事をしていたんですよね。

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 そうです。入社当初は「自分の携わる研究分野で一番を取りたい」という野望を抱いていました。しかし、いざ入社すると目の前の業務をこなすだけで精いっぱいで、上司からは「君がいなくても仕事が回るから」と言われました。真面目すぎる私を心配して言ってくれたのでしょうが、この言葉は深く心に刺さりました。自信を失い、自分で自分を「劣等生」と責めていました。そんな日々の中で、私にとってセックスは唯一、自信が持てる行為だったんです。

 一方で、男性との関係に逃げれば逃げるほど、徐々にむなしさも感じるようになりました。仕事の合間に緊急避妊ピルをもらいに病院に行った時、ふと、「私、何やってんのやろ」って。その時に「こんな消耗させられるくらいなら、いっそこれを仕事にしたらどうかな」と考え始めたんです。

 

――そう考え始めて、最初からAV女優になろうと?

 いえ、最初は性風俗で働くことを考えました。ちょうど街でスカウトされたので、付いていってみると、その風俗店のオーナーが私を見て「君はこの店でおそらくトップを取れると思う。ただ、知らなくていい世界もある。1回考えてみなさい」と言われ、帰されたんです。調べてみると、風俗は病気のリスクが高く、本番はできないことを知りました。私は、どうせやるなら最後までしたいので、ここは私の求めているものとは違うな、と。