大阪大学大学院の理学研究科を修了し、上場企業に勤め、32歳でセクシー女優に転身した藤かんな氏(34)。AV出演が会社にバレてクビ、バレエ教室の講師もクビ、それらの事実をSNSに投稿したことで“炎上”も経験した。「両親へセクシー女優になったことをまだ言えていない」という藤氏が、家族との関係性や自身の将来に対する葛藤を明かす。(全3回の3回目/初めから読む)
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「AV女優の自分」と「両親の娘である自分」
――2022年7月にAVデビューをしてから2年。昨年には大阪から東京へ活動の拠点を移しています。今、東京での暮らしはどうですか。
藤かんな(以下、藤) すごく充実しています。月に1回の頻度で撮影があって、それ以外は家にこもって黙々と日記や文章を書いています。上京する時は不安で怖かったですし、東京にいるからって遊んだりするわけではないのですが、東京にいると気持ちが奮い立つんですよ。同じ業界の人たちの間に身を置く方が士気が保てるというか、実家に帰ると色々考えてしまうので、このお盆は帰省しないでおこうかなと……。
――実家に帰ろうか、迷っている理由は?
藤 実家にいたら、今の熱量が削がれるような感じがするんです。安心できる場所だからこそ、「もういっそ実家に帰って、会社の事務かスーパーのレジ打ちもありなんかな」って揺れちゃう自分がいてゾッとします。東京での暮らしが充実すればするほど、AV女優である自分と両親の娘である自分との乖離をひしひしと感じます。昨年末に帰った時は、そこまで苦しくなかったんですけど、今年の5月の連休は、「もうここにおったらあかんわ」と思ってしまいました。
――毎回、別れ際にお母さんが涙されるそうですが、その姿を見てどう感じますか。
藤 もうそれは「お約束」なんです。母の涙は何よりもつらいです。まともに向き合っていたらこっちの身がもたないので、「この涙はお約束」と思うようにしています。