ーーワンピス族の方々は、自給自足で暮らしているのですか?

太田 基本的に自給自足です。「チャクラ」と呼ばれる畑から収穫したものとか、川で獲った魚とか、森で狩猟したイノシシとか猿の肉とか。家の外で放し飼いにしてる鶏とかを食べてます。イグアナとかワニも食べたな。

「職業という概念は薄いですね」「先生ぐらいかな」

ーージャーナリストやフォトグラファーがいるということは、みなさんなにかしらの職業に就いている?

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太田 いや、職業という概念は薄いですね。半分狩猟、半分農耕のような生活なんですけど、生きていくためならお金はほとんどかからないので。みんなバナナやイモ類を収穫したり、川で漁をしたり、家を建ててメンテナンスしたり、アクセサリーを作ったり、生きることに関わる全てをなんでもやるという感じです。

 ジャーナリストやフォトグラファーの人たちは自治政府に関わってる特別なメンバーなので、民族全体で1万人以上いるなかで数人しかいない。給料はほとんどもらってないと言ってますし。

 

コムアイ 先生とかは。

太田 そうだね、先生ぐらいかな。いわゆる職業は。全ての村じゃないですけどアマゾンの村にも今は小学校や中学校があるところもあって。そこの先生たちは大抵その村か近くの出身の人なんですけど、先生には大学を出てないとなれない。だからアマゾンに住みながらもしっかりした給料をもらえる職業としてはほぼ唯一で、リスペクトもされます。

 

助産師アニータさんの隣の家に住まわせてもらって

ーー現地の助産師に出産を手伝ってもらったそうですが、その方も職業にしているわけではない。

コムアイ 仕事とお手伝いと遊びと生活が線引きされていない世界観なんです。アニータという方なんですけど、少なく見積もっても100人以上のお産を手伝ってて。お産だけでなくて、不妊に効く薬草を処方してあげたり、妊娠中のいろんなこと、例えば逆子を手で治したりもするようです。双子で逆子でもちゃんと産ませることが出来たよ、と言っていた時は、ドヤッという感じでしたね(笑)。

 民芸品を作ること、孫の世話をすることと、村の人の相談に乗ること、畑に行くこと、教会に行くことなどが、どれもアニータの生活で、どれかが職業ってことでもないというか。村の人のお産を手伝うときは、お金がないなら野菜でいいよ、みたいな。それもなかったら、何もいらないって。だってそれで私が手伝えなかったら、その人と赤ちゃんはどうするの?と。私たちにも、お代は気持ちでいいよ、と言ってくれたのですが、さすがにお金を渡させてもらいました。

ーー滞在中は、ずっとアニータさんの家で。

コムアイ 村に着いたら、もう話がついていて。光海君の親友で村のリーダー格の人がいるんですけど、その人が「アニータがいいと思う。聞いてみるよ」って事前に伝えてくれていて。

 それで村に到着して、アニータを訪ねて「よろしくお願いします」って挨拶したら「息子が建てた家があるけど、今は違う場所にいるから、そこに住みなよ」って。それで、アニータのお隣のお家に住まわせてもらって。