ーーカブトムシの幼虫に似た見た目ですか。
太田 そうです。
コムアイ 成虫もカブトムシに似ていて。成虫も食べている女の子がいましたが、村の人たちは幼虫の方が好きみたいです。
ーーなかなかハードルが高いですが、みんなが「うまい、うまい」と言ってムシャムシャ食べているのを見たら、思わずパクッと口に入れてしまいそうですね。
コムアイ そうなの。みんなが「ほら、分けてあげるよ」って貴重なスーリをくれるんです。そうなると「わー、ありがとう! おいしくいただきます!」となっちゃう。
太田 普段は、そんなに量を食べないんです。前に僕が5ヶ月くらい1人で滞在してたときは、何回かしか食べる機会がなくて。今回は村にやってきたコムちゃんが妊婦だということで、みんながとにかく食べろと持ってきてくれて。
コムアイ さっき、自治政府があるって話したじゃないですか。その会議の途中で「よし休憩」となって、軽食が用意されたんですけど、それがポップコーンの山とスーリでした。「どんな組み合わせだよ!」と思ったけど。みんな、圧倒的にスーリに手を伸ばすんですよ。もうガンガン食べてて。
自分の動物的な部分を引き出してくれる環境で出産を
ーーかねてから海外での出産を考えていたのですか。
コムアイ 妊娠するまでは、特に考えてなかったです。その時に住んでる場所で産めばいいと思ってたんですけど、日本で出産したい場所が思いつかなくて。
出産するってことは、自分が動物になるというか、動物であるということを思い出す機会になるだろうなと思っていて。「この現代社会になっても、いまだに全員の命がお腹の中で育まれることは変わらないんだな」と。実際に妊娠したことで、それを感じるようになって、出産も、自分の動物的な部分、生命的な部分を引き出してもらえるような環境でしたいと思っていたんだなって。
でも、それは後になって気付いたんですけど。
ーー日本以外でも、都市部は考えていなかったんですね。
コムアイ 海外ならどこでもいいってわけではなくて。まず、インドが選択肢としてありました。
太田 僕は真っ先にインドを思い浮かべたんです。彼女はインドによく行っていたし、知り合いもいるから安心できる環境だろうなと思っていたんです。