コムアイ インドで歌の先生のファミリーにお世話になっていたんですけど、そのお家はお父さんが薬剤師なので西洋医療だろうなーと。そうなると受け入れてくれるだろうけど、病院で産むことになるんだろうなって。
でも、インドもアマゾンも、私たちが訪れたコミュニティは、日本で生まれ育った自分からは考えられないほど、当たり前のように外から来た人をあたたかく受け入れてくれる。特に、お母さんたち。毎日、違う家の人がご飯を食べに来てるけど、全然気にしていないって感じで。そういう受け皿のあるところがいいなって。
生活をずっと一緒にして、まるっと甘えてっていうことをしてきたのは、近年だと海外のほうが多かったから、海外だから不安ということはなかった。必ずしも言語が通じるとか血の繋がりがあるとかずっと住んでいるとか、そういうことだけが安心になるわけではなくて。
かつて文化人類学の研究で滞在したペルーの村へ
ーーなるほど。そこから、どうしてアマゾンに?
太田 それで、いろいろ探しました。ブラジルに自然出産を推進している先住民の女性たちのグループがあるという情報を見つけてリサーチしたり、インドでもそういうグループを探したりしてたんですけど、そういえば僕が研究で滞在したペルーの村では実際どうなんだろうと思って。僕はイギリスの大学院で文化人類学の博士号を取得したんですけど、そのための研究の一環でその村でフィールドワークをしたんです。要は住み込み調査。当時は彼らの出産について深掘りしてなかったので、多分自宅で産んでるとは思ったけど確証がなかった。
その村に住んでるリーダー格の友達に連絡したら「ここでは女性は全員病院じゃなくて自宅で産んでるし、助産の知恵がある人もいる。ここで産みたいなら全然ウェルカムだよ」と返事が来て、「じゃあ、そこでいいじゃん」と。
その村が、僕らが行ったワンピス族の村なんです。決める前にその友達と1回コムちゃんも交えてビデオ通話をしたんですけど、色々と話せてコムちゃんもその人をすごい信頼できたみたいで。それに、僕はスペイン語を日本語とあまり変わらない感覚で話せて、ワンピス語もある程度理解できます。コムちゃんも実は大学でかじっていたらしくスペイン語が少しできるんです。言語の面でも障害がないってことも大きかったですね。
「アマゾンに行きます」と見出しに出たら炎上して…
ーー妊娠8ヶ月でペルーに渡ったとのことですが、出発直前までは日本の産婦人科に?
コムアイ 病院は行きました。めちゃ真面目に日本の健診は行ってます。でも、渡航直前は行かなかった。なんでかっていうと、炎上したから、身バレしてるんじゃないかと思って。もうペルーに行くのも決めていたし。
妊娠して、どんなふうに出産したいかみたいな話題のなかで「アマゾンに行きます」と話したら、それが見出しになって「アマゾンに行くの!?」って炎上して。
太田 見出しでちょっとセンセーショナルにはなったんですけど、ちゃんと記事を読めば色々考えがあっての判断で、しかも慎重にことを進めた上で判断を変える可能性も全然あるよと言ってることはわかってもらえると思います。