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ガザでの戦争に弱腰なバイデン

 私が代表を務めるユーラシア・グループは、「2024年世界の10大リスク」の二番目に「瀬戸際に立つ中東」を挙げました。どの国も拡大を望んではいませんが、戦争がパレスチナ・ガザ地区以外の地域や国にも拡大する可能性はあります。

 トランプがガザ地区での戦争にどう臨むかは、大統領選挙までに戦争がどの段階まで進んでいるか、またはアメリカ国内のムードや国際的な感情にも左右されるでしょう。イスラエルの国内政治の状況も影響すると思われます。

 ただ、トランプは中東での情勢安定化に一役買うかもしれません。一期目の2020年には「アブラハム合意」でアラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンなど周辺のアラブ諸国がイスラエルとの国交を正常化しました。

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 彼には打算的な性格とアラブ諸国のリーダーと培った強い関係があります。

 トランプは第一次政権や公的な発言をみると、イスラエル政府寄りのスタンスですが、戦争が続く中でイスラエルが国際世論の支持を失うことへの懸念も表明しています。さらに、湾岸諸国との連携が予想されることから、イスラエルに対するアメリカの軍事的支援は強力なままでしょう。しかし、トランプのアプローチはバイデン政権より突破口を開き、新しい譲歩を引き出せる可能性が高いと言えます。

 今の状況ではネタニヤフ首相が、11月のアメリカの大統領選より前に打倒される可能性は半分以下です。パレスチナ人の飢饉、イスラエルによるガザ支援者への攻撃、そしてアメリカ議会のボイコットという見通しを前に、バイデンは戦争に弱腰に見えます。

 イスラエルとハマスの停戦協議は概して決裂しています。

 バイデンはもう少しで和平協定が成立するという楽観論でしたが、おそらく実現しないだろうという認識に変わりました。戦争が始まって9カ月経ったいま、バイデン政権は、人質の中に残っている5人のアメリカ市民の自由を確保するために、ハマス自身と話し合う可能性があると持ちかけています。