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平成皇室は「皇太子への憂鬱」から始まった

「私家版 平成皇室10大ニュース」座談会 #2

「乾通り」は歴史的に見ても、限られた人しか入れなかった

――「皇居の乾通り年2回公開」(2014年~)にも多くの人が詰めかけましたね。

辛酸 私は初年度のときに乾通りを歩いて、本当に感動したんですよ。今までずっと閉じられ、秘められていた庭園にやっと入れた。花、草、木にはものすごいエネルギーがありましたし。でも去年行ったとき、水には藻が生えていて、紅葉もそれほど鮮やかな色合いではなくなっていたんです。一般人を入れすぎて、空気というか、波動が悪くなっちゃったのかなと。

河西 私も初年度に行きましたが、すごく混んでいましたね。たまたま私が行った日に、宮内庁の庁舎から天皇皇后がその様子を見ていたと報道があって、お二人にとっては皇居を一部開放することで国民が喜ぶ姿を見られるのは、とてもうれしいことなんだなと思いました。

 

S記者 通常、一般の人が訪れることのできる限界線は皇居前広場までだったのが、もう一段階内側へ入れるようになったわけですから、大きな変革だと思います。

河西 そうですね。特に乾通りというのは、歴史的に見ても本当にごく限られた人しか入れない場所だったんですよ。ちょうど天皇皇后のお住まいのエリア(吹上)との境目でもあるので、なかなか入ることができませんでした。一般の人でそのあたりまで入ることができたのは、皇居内を清掃する勤労奉仕団の人たちぐらいでしょうか。

辛酸 皇居内といえば、「天皇陛下がタヌキの糞を調査される」というトピックも外せないですね。天皇陛下が、何年も何年もタヌキの糞を採取されて、タヌキの食性の長期的な分析を試みられました。しかも糞に含まれる種子を、種または属まで識別され、その数は58に及ぶそうです。2016年には5年間のデータを蓄積したアップデート版の論文も発表されています。

河西 天皇家は、代々いろいろなものを研究しています。昭和天皇の場合はヒドロゾアが研究対象でした。

昭和天皇 ©文藝春秋

辛酸 昭和天皇は「雑草ということはない」「どんな植物でも、みな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる」とおっしゃったことがあるそうです(入江相政編『宮中侍従物語』TBSブリタニカ、1980年)。小さい存在にも目を向けていらっしゃる。

S記者 さかなクンにも目を向けられました。天皇陛下は2010年の誕生日会見で、絶滅したと思われていた淡水魚のクニマスが発見されたことを受けて「東京海洋大学客員准教授さかなクン始め多くの人々」と言及して功績を称えられたんです。

 また最近では『日本魚類館』(中坊徹次【編・監】、小学館、2018年)という図鑑の解説を、陛下が他の魚類学者と分担して執筆されたそうです。陛下ご自身が和名を付けられたハゼ科のシマハゼ類2種類と、種類を分類されたチチブ類3種類について計4ページを担当されました。2016年の夏に依頼があって、公務の合間を縫ってお書きになったそうです。

 皇太子さまは水問題のご研究、秋篠宮さまは家禽類のご研究を続けていらっしゃいますね。