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 大麻で問題を引き起こした日大アメリカンフットボール部の場合には、11人が大麻をやっていて、残りの約100人が連帯責任を取らされました。

 高齢者の事故に関しては、1人が人身事故を起こすせいで、49999人が連帯責任を取らされていることになります。この比率から見れば、高齢者に対しては非常に厳しい措置と言えます。

免許証返納による社会保障費の増大

 問題は、65歳以上の人が免許証を返納すると、要介護率が2.16倍になってしまうことです。これはバカにならない数字で、仮に100万人の要介護者が増えれば、それだけで年間2兆円のコストがかかります。

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 社会保障費の増大という意味では、軽く見られないような金額です。

 高齢者に免許証を返せと言っている人たちは、それだけの国民の負担増まで考えているのかどうかが問題です。

写真はイメージ ©baking/イメージマート

ボケている人は意外に事故を起こしていない

 理屈通りにいかないもう一点は、実は高齢者でニュースを騒がす大事故を起こしている人は、みんな認知機能検査をパスしているのです。池袋の上級国民と言われたおじいさんだって、5人を死傷させた97歳の福島のおじいさんだってそうです。

 私はたぶん3000人くらい認知症の人を診ていますけど、ボケている人は意外に事故を起こしていないし、事故の被害にもあっていないのです。どんなにボケていても、車の前方に人が見えたらわざとそっちに向かって行ってはねるようなことはしません。

 認知症の人のほうがかえって怖がりです。徘徊していても、車が通ると怖いから逃げるんです。土手から落ちてけがした人はいますよ、何人か。だけど、私の診ていた認知症の人で、車にはねられた人は1人もいません。

 認知症の人が攻撃性を持つことはあります。噛みつくとか叩くとかです。じゃあ、認知症の人に刃物を持たせたら、それで人を刺すかと言えば刺さないわけです。

 世の中は認知症の人に対して勝手なイメージを抱いているかもしれませんが、知的機能が落ちたら悪いことをするかというと、必ずしもそういうわけではありません。