警察と消防の見立ては「100%放火と窃盗」

――その実家には、どれくらいお住まいに。

矢沢 1歳から36歳まで。燃えたときが36歳で、海外や地方で滞在や活動をしていても本拠地は実家だったんです。ただ、両親は亡くなっていたし、兄弟も出ていたので、誰もいなかったのが、せめてもの救いで。

 僕の悪いところというか、芸人なのもあるんですけど、こういうことをヘラヘラと話すけど、泣きたくなるほど辛かったですよ。いろんな思い出が詰まった家ですから。

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――最初から、警察と消防の見立ては放火?

矢沢 100%放火と窃盗だと。家の中が荒らされている形跡があって、「引き出しって、開けてたわけではないですよね?」と聞かれたんですよ。あらゆる引き出しが開いていたらしいんですけど、「僕は絶対に閉めるようにしています」って答えて。

 

――交友関係についてもいろいろ聞かれるわけですか。

矢沢 「犯人の目星はありますか?」と聞かれました。一瞬、頭に浮かんだ人がいたんですよ。僕はケンカっ早いというか、煽るような芸風なので、それが原因になってファンから脅迫されて裁判をしたことがあって。刑事と民事の両方で僕が勝って、相手は負けていて、それでも人の家に火をつけるほど凶暴な人間ではないなと。

 過去になにかあった人物は全員出してくれとのことで、5人か6人絞って名前を書いてくれと。たとえば、飲み屋で言い合いになって、手を出したわけじゃないけど、嫌な感じで別れたような人でもいいって。なんとかリストにしたけど、全員関係なかったですね。

「家が燃やされたから、ちょっと泊めて」とは言えず漫画喫茶へ

――焼け残った部屋に潜んで、放火犯を捕まえたそうですけど、警察に任せなかったのはなぜですか。

矢沢 燃やされた家って、埼玉でも池袋から電車で20分ちょっとくらいのとこにあったんです。地元だから友達もいっぱいいるんだけど、みんな結婚して子供ができていたりで、「家が燃やされたから、ちょっと泊めてくれ」とは言えなくて。ホテルに泊まろうと考えたけど、8000円くらいする。しかたないから、マンガ喫茶に泊まってみたけど、環境的にキツくて。

 奇跡的に仏間だけ焼け残っていたので、そこで寝泊まりしようと。あと、犯人は犯行現場に戻ってくるっていうじゃないですか。ついでに捕まえられるんじゃないかなって。