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「お前、犯人じゃないよな」「絶対に僕じゃないです」

――放火現場で久々に再会を果たしたと。後輩は犯行を認めましたか。

矢沢 実家の近くにあった駐車場に連れていって、「なんで俺の家の前にいた?」って聞いたら「どうして先輩の家が燃えちゃってるんですか?」って逆に聞かれて。嘘をつかない人間だったから、一瞬「ピュアに僕に会いに来たのかも」と思ったけど、「まあ、犯人だろうな」って。

 続けて「お前、犯人じゃないよな」と聞いたら、「絶対に僕じゃないです」と。「でも、家の防犯カメラにお前が映っちゃってるから、あとで警察が来ていろいろ聞かれるぞ。だから、いま俺が警察を呼んでやるから、僕は関係ありませんってハッキリ言えるか?」って言ったんです。家に防犯カメラなんてあるわけないんですけど、なんとかして警察に突き出しておかないとマズイなって。

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――すんなり言うことを聞きましたか。

矢沢 「警察に言えます」って。もともと、そいつには基本的に優しく接するようにしていたんです。優しく言ってやると、話を聞いてくれるんで。なんで、そのときも「暑いから、日陰に行こうか」とか「リュック重そうだな。ちょっと置こうか」なんて、気に掛けながら話をしてました。

 で、警察を呼んで、警察のほうでリュックを調べたら、うちから盗んだものが入っていて。警察から「犯人でした」って連絡がきました。盗んだものをリュックに入れて、10日間持ち歩いてたらしいです。

動機は「自分の人生をずっと邪魔されている」という妄想

――動機は?

矢沢 被害妄想とのことでした。僕が彼の人生をずっと邪魔してるみたいな。失踪していた2、3年の間に起きたイヤな出来事は、すべて僕が操って起こしていたことなんだとか思っていたそうで。

 僕に対する嫉妬もあったみたいです。僕が海外を放浪したり、タイに住んでいるのが、どうも豪遊しているように見えていたらしく。貧乏旅行なんだけど、どうして僕だけが海外で遊べるぐらい稼げてるんだっていう。それだけじゃなく、いろいろ嫉妬してたそうです。

 

 あと、親とも折り合いが悪かったようです。親と大きく揉めて、ものすごく叱られたんですよ。それが引き金になったかどうかはアレですけど、その1ヶ月後ぐらいに火をつけたんですね。親と揉めたってのは、あちらのお父さんから聞きました。

――当然、逮捕されて裁判に。

矢沢 放火の1年ちょっと後、去年の9月ぐらいに裁判員裁判で5日くらい。結構な凶悪犯罪ということなので、時間はかかったほうじゃないですかね。

――当然、実刑に。

矢沢 いや、これがまさかの懲役3年、執行猶予5年だったんですよ。

 

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