都立特別支援学校の元教諭のA子(当時30歳)が、同校に通っていた当時高校1年生の男子生徒Bくんと、商業施設に駐車場に停めたレンタカーの車内で性行為をしたとして、児童福祉法違反に問われている。8月15日に東京地裁で行われた被告人質問にA子が出廷した。
A子はBくんにレンタルの携帯電話を与えて休日に学校外に誘い出し、性行為をしたことは認めたものの、同意ではなくBくんに無理やり襲われたと主張し、起訴内容の一部を否認した。教員と生徒との間での性的関係が社会問題になる中で、厳しい判決が出るかが注目される。
法廷に現れたA子は、黒いショートヘアにメガネをかけ、口元はマスクで覆われていた。上下黒のスーツ姿だが、サイズが合っていないように見える。身長153cm、体重は本人が「犯行当時は40kgくらい」と答えるなど、小柄で非力な印象だ。証言中はマスクを外したものの、傍聴席から表情を伺うことはできなかった。
起訴状などによれば、A子は大学を卒業後、都内の特別支援学校で働いていた。2020年4月に軽度の知的障害があるBくんが入学し、A子が担任になった。
「私の力不足を感じました。Bくんに申し訳ない、なんとかしないといけない」
Bくんは軽度の知的障害のほか、自閉スペクトラム症と注意欠陥・多動性障害をもっていた。7月に学校でトラブルがおき、Bくんの父親が「余計なことはするな」と学校にクレームをいれ、Bくんを「恥晒し」と罵って暴力を振るったことが理由で、Bくんが児童相談所に保護される出来事があった。
「私の力不足を感じました。Bくんに申し訳ない、なんとかしないといけないと思いました」
「10月に保護が解除されましたが、登校初日のBくんは暗い表情でした。児相での体験がとても辛いものだったと話していました。せっかく学校へ来たので、楽しい思いをさせようと思いました。クラスの用事があるときにBくんに頼んで役割を与えると、少しずつ話をしてくれて、笑顔も見せるようになりました」
この頃からBくんは「一緒に遊びに行きたい」とA子を誘うようになったが、「そういうのはできない」と当初は拒んでいたという。しかし11月ごろ、Bくんが父親との関係を理由に「学校を辞めたい。辞めて働きたい」と言い出し、就職支援の必要性が出たことがきっかけで2人の関係性が変化していった。
被告人質問では、20年12月中旬にA子がBくんに携帯電話を渡して個人的なやりとりが始まり、その内容が性的なものだったことが明らかになった。