「裸で抱き合うのも気持ちいいけど、今度は出すところを見てみたい」

 険悪な雰囲気になったという一方で、帰宅後、A子はBくんに「おなか、大丈夫?」とメッセージを送っている。これは「お腹を強く蹴ったため」だという。性交について不同意だと主張しているが、「嫌だった」というメッセージは一度も送っていない。A子はその理由について、Bくんと就職の話ができなくなるのを避けるためだったと主張している。

 しかし、その後も性的なメッセージは続く。

 年が明けた21年1月1日、A子は「裸で抱き合うのも気持ちいいけど、今度は出すところを見てみたい」というメッセージを送っている。A子は「気持ちが不安定だったので覚えていないが、そのまま受け止めると心が壊れてしまう」と証言した。

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 他にも「好きだ」というメッセージや、自撮りした裸の写真を1月15、16日に送り、「エッチしたい」というメッセージ、さらには同棲の話も出している。

「今思い出すと、12月30日のことがあって、気持ちが変化したのだと思います。最初は、児童相談所で保護され、『虐待をうけてかわいそう』と思っていました。しかし、30日のことがショックで納得できるように気持ちを変化させたのだと思います。好きが含まれていました」

 しかし、A子とBくんの証言は食い違っている。A子はBくんとの性的な接触は20日が初めてだと主張しているが、Bくんは「初めて車内で性交をした12月20日以前にも、学校内でキスやハグをしていた」と証言している。この点についてA子は譲らなかった。

「12月20日以前にキスやハグをしたことはありません。時間が経って、記憶が曖昧になっているのではないでしょうか。私とBくんとでは認識が違います。(中略)性交については、同意してないことは間違いないです」

裁判が行われている東京地裁

 その後、Bくんは児童相談所に保護されている。普段は別のところに住んでいる兄が家に来ていた。兄が帰るとき、Bくんは「バイクで事故って死なないで」と言った。それを聞いていた父親が怒って、Bくんに暴力をふるった。そのため、保護されたという。

 もともとBさんの家族は学校に対して「中学時代に人とのトラブルがあった。特に異性とは関わらせないでほしい」と言われていた。

「勘違いさせることを言ってしまったことは、Bくんに申し訳ないと思います。携帯電話を渡さなければよかったと思います。本当にバカだった。女性との関係を築く上で悪影響だなと思います。父親から『異性関係のトラブル』を心配されていのに、その原因を私が作ってしまいました。心配されていた通りになってしまいました」

 当事者2人の証言が食い違う車という密室内での事件。果たして裁判所はどう判断するのか。