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事務所の社長、レコード会社の会長が同席する異例の謝罪会見

 酒井さんは席の前に立つと一礼し、まっすぐに前を見つめた後に視線を落とし、再び深く頭を下げる。口元をきつく結ぶと、視線は落としたまま席に着いた。最初に口を開いたのは逮捕時まで所属していたサンミュージックの相澤社長だ。酒井さんは相澤氏の方に視線を送り、頭を下げた。

 所属している芸能人や有名人が大麻や覚せい剤で逮捕されると、所属事務所やレコード会社は契約を解除するのが一般的だろう。事件によりCMや番組の違約金が発生、その肩代わりをすることもあるだろうが、所属していた事務所側が会見などの公の場に出てくることはほぼないと言っていい。

 だが酒井さんの会見は違っていた。相澤氏だけでなく、所属していたレコード会社ビクターエンタテインメントの三枝照夫会長も同席していたのだ。彼女の緊張はさらに増したことだろう。

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保釈後の謝罪会見には相澤正久副社長も同席した ©時事通信社

「元、弊社所属タレント酒井法子が本日保釈されました」

 まず相澤氏が酒井さんについて“元・弊社所属タレント”と呼んで話し始めた。「迷惑と心配をかけたすべての人々に、酒井本人からお詫びを」という言葉に、酒井さんは肩が動くほど大きく息を吸い、うつむいて唇を噛んだ。

 さらに「元所属事務所の責任者として、世間を騒がせたことを改めて深くおわびさせて頂きます」と相澤氏が続ける。口元を強く結んでいた酒井さんは視線を落としたまま背筋を正し、もう一度大きく息を吸うと、ゆっくりと頭を下げた。

 視線は落としたまま頭を上げ、今度は大きく息を吐く。自分の目の前で、恩人が自分のために頭を下げていることに大きく動揺していることがわかる。だが、酒井さんがそれ以上に強く反応したのは、子供についての言及だった。

©文藝春秋

奥歯をかみしめるように顎の線が細く強張っていく

「子供のこれからの将来のため、ご遠慮下さいますようよろしくお願い致します」

 相澤氏がそう話す間、酒井さんの表情は硬いまま変わらない。しかし奥歯をかみしめるように顎の線が細く強張り、うつむいていた首にも力が入ったのか首筋が立っていく。

 相澤氏が話し終わると酒井さんは視線を上げ、力のこもった目でまっすぐに前を見てから、ゆっくりと頭を下げた。当時、勾留中「子供に早く会いたい」と話していたという報道があったが、やはり子供のことが一番気がかりなのだろう。