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 次にマイクを握ったのは三枝氏だ。

「デビュー以来20年以上苦楽を共にしてきた」「酒井法子のこの度の事件により、ファンの皆様を失望させてしまい、弊社としては契約解除に至ったことは、非常に残念かつ遺憾に思っております」という発言に、視線を落とし小さく頷いていた酒井さんだが、聞いているうちにどんどん俯き、うなだれるように涙ぐんだ。

「関連取引先、お客様に多大なご迷惑をおかけしたことに、この場を借りて深くお詫び致します」

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©文藝春秋

 様々な関連商品が出荷停止になったことについての謝罪を聞きながら、酒井さんはぽろぽろと大粒の涙をこぼし、さらに深く頭を下げた。様々な人々に迷惑をかけたという気持ちが強かったのだろう。

「酒井法子が断じて再度過ちを犯すことなく、一日も早く社会復帰できるよう努力することを心より期待しています。ビクターエンタテインメントからのコメントです」

 三枝氏がそうコメントを終えると、酒井さんは流れる涙を拭こうともせず、口元をきゅっときつく結んで頭を下げた。

 彼ら2人に謝罪させてしまったことへの申し訳なさや後悔の念が強く、それでも期待するというコメントに感情が揺すぶられたのだろう。顔を上げるとようやく涙を拭いた。

©文藝春秋

「薬物というものに、自分の弱さゆえに負け…」

 ようやく酒井さんが口を開く。立ち上がり一礼すると、再び座りマイクを握った。鼻をすすると「えっ」と声を出し、音を立てて息を吸うと「この度は一社会人として人として、決して手を出してはいけない薬物というものに、自分の弱さゆえに負け」と謝罪。

 その口調ははっきりとしており、語尾はしっかりと力強い。自分を支えて応援してきた人々に対して、残念さや幻滅を与えたことに「決して許されることではありません」と力強い目で前を向き、語尾を強めて言い切った。

 さらに息を吸うと「この罪の償いを今後どのようにして償っていくのか」と考えているように視線を下げると、「二度とこのような事件に手を染めることのない、そういった誓いを一生の約束として固く心に誓います」と前を見つめ縋るような、信じて欲しいと頼むような目で、何度も頷きながらはっきりと誓いを口にした。