2009年9月17日、覚せい剤取締法違反で逮捕、起訴されていた歌手で女優の酒井法子(53歳、当時38歳)が、東京湾岸署から保釈された。日本だけでなくアジア圏でも人気が高かった彼女だが、その逮捕にも注目が集まっていただけに、湾岸署の前には多くの報道陣が待ち構えていた。
酒井さんは、夫だった高相祐一氏が渋谷区内の路上で覚せい剤所持で現行犯逮捕された後、渋谷警察署から任意同行を求められるも「後で行きます」と告げて行方をくらました。
逮捕状が出たことで、所属するサンミュージックプロダクションの相澤正久社長が都内で会見し謝罪。「一刻も早く出てきてください」と彼女に呼びかけた。
これだけでもセンセーショナルな事件であり、酒井さん自らが8月8日に警視庁に出頭するまでの6日間、逮捕前の私生活の様子や交友関係などが、情報番組などで連日のように報道され騒動になっていた。
この日、署から出てきた彼女は黒いブラウスにナチュラルメーク。報道陣を見ると頬を緩めて笑顔を作る。向けられた多くのカメラの前に立ち、一瞬、口元に笑みを浮かべると前を向き、深々と頭を下げ「申し訳ありませんでした」と謝罪した。瞬間的に見せた笑顔はどれも口元だけの作り笑いだ。
会見での涙が予想されていたことがわかる「アイライナー」
夕方には都内で謝罪会見を開き、約500人の報道陣が詰めかけた。この会見では保釈時に何度か見せた作り笑いは一切なく、表情は終始硬かった。そうなる理由がこの会見にはあった。
この謝罪会見はきわめて異例であり、彼女のその後のキャリアを大きく決定づける要素を含んでいた。酒井さんは何を考えていたのか、あらためて分析する。
会見場に現れた酒井さんは、保釈時とは違い黒のジャケットを羽織り、アイラインを強調したメイクをし、髪をカチューシャでまとめていた。
会見中に涙ぐむ場面もあったが目元に引かれたアイラインが滲んでいなかったため、ウォータープルーフのアイライナーを使用していたと予想される。この時代、まだウォータープルーフのアイライナーは種類が少なかった。泣いてしまうことが想定されていたのだろう。