国内最大の暴力団「6代目山口組」が分裂したのは2015年8月のことだった。離脱した「神戸山口組」との対立抗争は10年目に突入した。分裂以降、多くの事件が発生してきたが、6代目山口組若頭、高山清司が刑期を終えて2019年10月に刑務所を出所すると、抗争の潮目は大きく変化していく。
6代目山口組の傘下組織が、高山の前で功を競うように神戸山口組側へ攻勢に出ることが多くなったのだ。自動小銃を乱射するなど残忍な凶悪事件も増え、警察当局はさらに神経をとがらせることとなった。(全2回の2回目/前編を読む)
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商店街に響き渡った十数発の銃声
多くの買い物客が行きかう兵庫県尼崎市の商店街の一角で2019年11月27日の夕刻、大型の自動小銃の発射音が連続して響き渡った。自動小銃の銃口の先にいたのは神戸山口組最高幹部の古川恵一。古川は全身に十数発の銃弾を浴びて死亡した。買い物時とあって、流れ弾による一般市民の被害が起きても全くおかしくなかった。
事件で使われたのは米軍が公式採用している「M16」という自動小銃だ。連射が可能で、銃弾は殺傷能力が非常に高いことで知られる。
銃撃直後に古川はすでに絶命したとみられていたが、あおむけに倒れていた古川に向かってさらに連射するほどの執拗で残忍さが際立った。殺人容疑で逮捕されたのは6代目山口組竹中組系の元組員である。
この事件の前月の10月10日にも重大な事件が発生していた。神戸山口組の主力である山健組本部の近くで、同組系の組員2人が同時に射殺されたのだ。逮捕されたのは6代目山口組弘道会系の幹部。