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思わずコケたスミちゃんの一言

 萩本 だからオレはいつも疑っていたの。この女性は昼間、何やってるんだろうと。

 有働 誰かに会っているんじゃないかと(笑)。

 萩本 それが実はスミちゃんは入院する時も必ずお化粧道具を持ってきて、オレがお見舞いする日には眉毛だけは描いてもらっていたと最後に義妹から言われて。「そのお化粧は欽ちゃんのためよ」と。義妹がいなかったら泣いたかもしれないね。

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 有働 本当に最後まで恋人のような関係だったんですね。

 萩本 会話もデートもしていないもんだから、子どもたちに今「どういう女性だったの?」と聞いているの。生前「たまには子どもの愚痴とかこぼすのもいいんじゃない?」と言ったのよ。そうしたらスミちゃんが首を横に振って「あまり帰ってこないのにそんな時間はもったいないでしょう」。そう言われた時、オレに惚れているのかなと思ったね。

 有働 いやー、惚れていますね。

萩本氏と有働氏 ©文藝春秋

 萩本 そのわりに、亡くなる1年前くらいに子どもたちが「お父さんのどこが好きで一緒になったの?」と聞いた時、「好きはないわね」と言ったから、オレ、コケたもん。

 有働 それはコケます(笑)。

 萩本 じゃあなんで一緒になったのかと尋ねられて、40秒くらい間を置いて、「『好き』じゃなくて、ずっとファンだったの」と言ってくれた時はちょっと泣きそうになった。その言葉で全部わかった。何も文句を言わないのも、仕事を邪魔しないのも、ファンだったからだとね。

愛妻との思い出が満載の著書『ありがとうだよ スミちゃん 欽ちゃんの愛妻物語』(文藝春秋刊)

 有働 劇場の人気女優で雲の上の存在だったスミちゃんと夫婦になるエピソードがまた映画みたいで感激しました。ずっとスミちゃん一筋で浮気もなかったですか?

 萩本 ないない。女性とあまりお付き合いがないものだから気持ちが読めないの。結婚前は週刊誌にしょっちゅう出ていたけど、芸能人と付き合うとかは一切ないですからね。

 萩本氏と有働氏の対談「亡き妻に『ファンだった』と言われ泣きそうでした」全文は、「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

 全文(8000字)では、香取慎吾さんとのエピソードから、芸能界における運、80代の日々まで語っています。