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 あまり考え込まずにパパーンと打つと、案外思い通りに行くことがあるじゃない。あの二人もそんな感じだった。ナイスショットと声をかける間もなく、二人はボールを打つとスッとカートに戻り、真剣な表情で話し込んでいた。スコアは付けず、納得が行かなければ打ち直しをしたりして。もっとも本当の目的は二人だけで腹を割った話をすることで、誰の目も気にせず、盗聴されるおそれもないゴルフ場はうってつけの場所だったんじゃないかな。

 ニュースで流れた映像を見た人は、二人が遊んでいるだけのような印象を受けたかもしれないけど、間近で見ていた私の印象は違う。カートの中で真剣に政治の話をするための、文字通りの"ゴルフ外交"だったのだと思う」

トランプ前大統領(右)と安倍元首相(中央)のラウンドに同行する青木氏 ©時事通信社

「オー、グッド!」と上機嫌

 青木氏が使っているドライバーを貸すと「これはいい」と、トランプ氏はプレー中、ずっと使っていたという。

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「シャフトは彼には硬すぎるものだったから、私が柔らかいものに交換してあげると飛距離が伸びて、『オー、グッド!』と上機嫌だった。『アメリカに持って帰っていいか?』と言うから、どうぞと渡すと、安倍さんも『僕も欲しいな』と言うので、虎のマークがついたテーラーメイド製のドライバーを二人に一本ずつ差し上げた。非常に喜んでくれたようなので、私も少しは外交の役に立ったのかもね(笑)」

 記事では、今年3月の日本ゴルフツアー機構(JGTO)会長退任の真相、世界殿堂入りの際の名スピーチ、田中角栄氏との「90切り」爆笑エピソードなどが10ページにわたって披露されている(「文藝春秋 電子版」では雑誌発売に先駆けて9月9日に先行公開)。

文藝春秋

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トランプさんに贈ったドライバー