スタッフの評価はきわめて高かったが、一般への知名度がなかなか上がらなかった満島の一大転機となったのが、23歳のときに主演した『愛のむきだし』(園子温監督)だった。
映画はカルト教団、洗脳、三角関係、盗撮、女装、百合、バイオレンスなど何でもあり。満島はその中で、園監督名物の“制服に白いパンチラ”に始まり、白いシャツに白い下着だけの自慰シーンでは演技とは思えぬ喘ぎ声を漏らすなど、それまでの優等生イメージを吹き飛ばす演技に次々とチャレンジ。本格女優としての道を歩き出した。
そのイメチェンについて、満島は当時のインタビューで嬉々としてこう語っている。
「小さい頃から、歌って踊ってアイドルとかをしてたから、その流れで今までアイドルっぽい、かわいい役が多かったんですよね。でも、『愛のむきだし』では、こんなに汗みどろで鼻水だらだらで、汚い顔とか汚いこともいろいろしたりとかしているので、そういうものを見せたことによって、周りも“ああ、この子はこんなに自分を解放して取り組んでくれるんだ”っていうのをたぶん、感じて下さったようで、出演出来る作品が増えてきた、呼ばれるようになってきたっていうのも変化だと思いますね」(「HMV & BOOKS -online-」)
黒柳徹子に直談判して自分の数十年後の姿を…
この映画で満島は報知映画賞など数多くの映画新人賞を総なめにし、映画やドラマ出演のオファーが殺到することになる。
25歳のときにはNHK朝の連続テレビ小説『おひさま』にも出演。最終回で自身の数十年後の姿が出ると知り、黒柳徹子に直談判して演じてもらったという。その縁がのちに『トットてれび』(16年)での主演・黒柳徹子役につながっている。
さらにこの話にはおまけがあり、イギリスの特撮番組『サンダーバード』で黒柳が演じていたペネロープ役を満島が引き継ぐことになった。監督だけでなく演者までも虜にする一面がわかる。