1ページ目から読む
2/3ページ目

須藤がしどろもどろになる場面も

――火事ですか、救急車ですか?

須藤「救急車をお願いします」

 住所に続き、傷病者の名前を聞かれて「野崎幸助です」と答える須藤。だが、119番の担当者から隣家の名前など自宅の詳しい位置を確認されると、田辺市での同居実態が2カ月ほどしかない須藤は「分からないです」としどろもどろに。その間に救急車が出動し、以後もやりとりが続く。

ADVERTISEMENT

ーーどうされましたか?

須藤「(2階に)上がったら動かなくて」

――意識はありますか? 呼吸はしていますか?

須藤「していないです。椅子に座っていて」

――呼吸が止まる瞬間を誰か見ていますか?

須藤「見ていないです」

――男性ですか?

須藤「そうです」

――家には他に誰かいますか?

須藤「はい、お手伝いさんがいます」

77歳で亡くなった野崎氏

 担当者は、野崎氏がソファに座った状態であることを再確認すると、2人で仰向けに寝かせるよう指示を出す。通話はスピーカーフォンになっており、A子さんの切羽詰まった声が飛び込んでくる。

A子さん「しっかりして! なんでこんなことに! 社長! 社長! 社長!」

 和歌山県出身のA子さんは、東京の自宅から月に10日ほど田辺市に通い、家政婦として野崎氏の身の回りの世話をしていた女性。野崎氏とは30年来の付き合いで、同氏の会社でも取締役を務めた側近の1人でもある。必死の呼びかけの声が法廷に響き渡る。

A子さん「しっかりして! 社長! 社長! 社長!」