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山田よう子さんとの出会い

——ホストと飲むのを止めたきっかけは?

麻衣 私が歌舞伎町の大久保公園で立ちんぼしてた時、YouTuberに話しかけられたんですよ。その中に、アームレスリング世界王者の山田よう子さん(以下、ママ)がたまたまいたんです。ママは私の二の腕を見て、「この子、何でこんなに傷があるんだろう」「ちょっとメンタルが弱い子なのかな」って気にしてくれて、ドーナツ屋さんに誘ってくれました。その時、昔のママのいろんな経験を聞いて、今のママからは考えられなくて、びっくりして。ちゃんと立ち直ったのがすごい。アームレスリングの世界王者になったし、5人の子の立派な母親だし。自分もママを見習って、立ち直ろうと思いました。

©深野未季/文藝春秋

——山田さんの前だと素直になれたんですね。

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麻衣 はい。初めておしゃべりした時、自分の素を引き出してくれたんです。本当の私の気持ちをわかってくれるから、ママが隣にいるだけで心が落ち着きます。優しい言葉をかけてくれる時もあるし、怒られる時もあるけど、「魂はいつもつながっているから大丈夫」って。「麻衣が悲しいと、ママも悲しいから一緒に頑張ろう」って手をつないでくれました。

介護の仕事に就きました

——どんな時に怒ってくれる?

麻衣 「15歳から21歳まで立ちんぼして身体を売って、なのに手元にお金が残ってないって、じゃあ、何のために嫌な思いをしてきたの?」って。「私にもそういう時期があったから、寂しいのはわかるけど、ホストによって瞬間的に心を埋められたとしても、飲んだお酒は流れちゃうから、もっと自分のためになることや、自分にプラスになる人のためにお金を使おうよ」って。あと、「そのサックス、絶対に吹かないよ」って(笑)。

——山田さんに会ってから、具体的に行動を起こしましたか。

麻衣 真っ当に、介護の仕事に就きました。まだ始めたばかりですけど。

©深野未季/文藝春秋

——少しは慣れましたか。

麻衣 仕事を覚えている最中なので、毎日へとへとですね。この間、利用者さんにセクハラされました。さりげなくお尻を触ってくるんです。怖いので、男性職員を呼んで、「うまくいかないので、ちょっと代わってもらえませんか」ってお願いしました。利用者さんにきつく当たられることもありますが、話を聞くようにすると、大体は落ち着いてくれますね。今、“傾聴”っていうテクニックを練習中なんです。例えば、「辛い」って言われたら、「そうなんですね。辛いんですね」って、そのまま相槌を打って耳を傾けるみたいな。