1982年(昭和57年)、国家公務員上級職採用試験(現、総合職採用試験)の上位合格者の多くが、大蔵省(現、財務省)に採用された。その数、27人。
日本でもっとも頭がよい人たちの集団の1つだった。『神童は大人になってどうなったのか』(太田出版)では、大蔵省82年組の神童を追いかけてきた。彼らのうちの何人かは頭がよいはずなのに、処分、逮捕、自死など波乱に満ちた生きざまを送っている。霞ヶ関で「呪われた82年入省組」と言われても仕方がない神童たちは頭のよさをどう使ったのか。何人か紹介しよう。
頭のよさがズレすぎている
2018年4月、財務省は前事務次官の福田淳一をテレビ局記者へのセクハラ行為を認定して処分を行った。退職金から減給20%6カ月分が差し引かれる。神奈川県立湘南高校出身。東京大法学部卒。東京大在学中に司法試験に合格している。
福田は今回のセクハラ問題は裁判で勝てると信じているようだが、取材中、脈絡もなく口に出た「おっぱい触っていい?」を、「セクハラではない」と否定する感覚をだれが理解できるか。頭のよさがズレすぎている。
福田よりもひと足早く財務省を辞めたのが、前国税庁長官の佐川宣寿だ。こちらも財務省から「国有財産行政に関する信頼を損ねた」として、退職金から減給20%3カ月が差し引かれた。都立九段高校出身。東京大経済学部卒。官邸を守るために、文書記録は「速やかに事業終了で廃棄していると思う」、電子データは「短期間で自動的に消去されて、復元できないようなシステムになっている」、公文書改ざんの経緯では「刑事訴追される恐れがある」と言い放った。頭のよさは逃げに使われた。