唯一政治家に転身した片山さつき
大蔵省82年組から唯一政治家に転身したのが、自民党国会議員の片山さつきだが、なかなか人騒がせだ。
2012年にNHKの音楽番組で「過去1年間、出演者の韓国人タレント占有率が36%」とNHK会長に質問する中で発言(実際は約11%)。芸人の親族の生活保護受け取りについて、厚労省に「年収5000万円、母親生活保護不正受給疑惑」の調査を依頼した。14年には御嶽山の火山活動監視体制は「民主党政権の事業仕分けで常時監視の対象から外れた」と事実と異なる話をした―――などムチャぶりが目立つ。
大蔵省82年組で最後に紹介するのが、田中修である。2017年10月に退官して、現在は財務総合政策研究所特別研究官という肩書きだ。博士号(東京大、学術博士)を持ちアカデミズム志向が強く、信州大教授、税務大学校校長をつとめたことがある。
中国に一等書記官、参事官として勤務した経験から、中国経済に詳しく、関連図書が多い。
「取りあえずあやまって責任を回避する方法」の危険性
田中は最新刊『日本人と資本主義の精神』(ちくま新書)で気になることを書いている。
「『取りあえずあやまれば済む』という発想は、最近頻繁に行われる各界の謝罪会見をみても分かります。『世間をお騒がせして申し訳ありません』『ファン・支持者の方に申し訳ありません』というのは、いったい誰にあやまっているのか、何をあやまっているのか、自分が悪い事をしたと思っているのか、きわめてあいまいです。
かつての『一億総懺悔』は、戦争指導者の責任をあいまいにしました。この、取りあえずあやまって責任を回避する方法は、実はまったく真の反省・検証が行われていないので、過去のあやまちをより大きく繰り返す危険があるのです」。
正論だが、田中はなぜ財務省在職時代に財務官僚の忖度気質、無責任謝罪体質を変えようとしなかったのか。
いまからでも遅くない。大蔵省82年組神童の社会的責任として、前川喜平のように財務省の「うみ」を発信してほしい。
(敬称略)