去る4月19日、2020年放送のNHK大河ドラマの制作発表があった。大河ドラマ第59作目となる本作は、『麒麟がくる』と題して、池端俊策のオリジナル脚本、長谷川博己の主演により戦国武将・明智光秀の人生を描くという。池端と長谷川は、一昨年にやはりNHKで放送された土曜ドラマ『夏目漱石の妻』に続いてタッグを組むことになった。

五木ひろしやマイケル富岡も演じてきた「明智光秀」

 明智光秀はこれまでにも何度となく大河ドラマに登場してきた。『国盗り物語』(1973年)で悲壮感漂う光秀を近藤正臣が好演したのをはじめ、『春日局』(1989年)では五木ひろし、『信長 KING OF ZIPANGU』(1992年)ではマイケル富岡と、変化球的なキャスティングも飛び出した。

 ここ10年あまりは、光秀の古典文化に通じた教養人という側面を重視してか、歌舞伎俳優の坂東三津五郎(『功名が辻』2006年)、落語家の春風亭小朝(『軍師官兵衛』2014年)、作家の岩下尚史(『真田丸』2016年)と、伝統芸能と関係の深い人たちの起用が目立つ。そこへ来て今回、長谷川博己が抜擢されたことは、新たな光秀像を目指すスタッフの意気込みをうかがわせる。

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長谷川博己の起用には、NHKスタッフの気概を感じる ©杉山秀樹/文藝春秋

 筆者は一昨年、2019年の大河ドラマは、脚本を宮藤官九郎がオリンピックを題材に書くと発表されたとき、登場人物と配役を予想したことがある(「エキレビ!」2016年11月17日)。まだこの時点では、主演俳優どころか、『いだてん~東京オリムピック噺~』というタイトルも、どんな人物が出てくるのかも決まっておらず、配役はこれまでの宮藤作品の出演者などを手がかりに予想した。それでも下手な鉄砲も何とやらで、このとき名前をあげたうち、橋本愛、武井壮、山本美月の出演が実際にその後NHKから発表されている。

 そこで今回も『麒麟がくる』の配役を予想してみようと思う。ただし、本気で予想するというよりは、あくまで「自分が見たいかどうか」を優先して選んでみたい。

光秀の主君・織田信長はだれが適役か?

 まずはやはり気になる、明智光秀の主君であり、のちには彼によって討たれる織田信長の配役だ。NHKオンラインの公式ページでは、『麒麟がくる』でめざす信長像について《革新的な魔王のイメージが強い光秀の主君・織田信長を、最近の研究で見直されている保守的かつ中世的な側面も強調、父・信秀から実直に受け継いだ財政面、経営面での才覚も描いていきます》と説明されている。はたしてこれに見合った俳優は誰なのか。