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 SMAPを見てほしいとの思いが高じて、中居さんはあるとき、5人で旅に行きたいとスタッフに提案します。制作陣としては、それで本当に視聴率がとれるのかと議論しましたが、中居さんの熱意に押されて企画は実行されることに。

 結果は久々の視聴率20%超えと、大成功になりました。SMAPは全員グループ愛がたいへん強かったですが、中居さんはそれに加えて、いつもグループ全体のことを考えて動いているところにスゴみを感じます。

『SMAP×SMAP』の最終回で見せた姿

 SMAPという稀代のアイドルグループも、結成28年で解散のときを迎えることとなります。

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 2016年12月26日、20年続いた彼らの看板番組『SMAP×SMAP』の最終回をもって、活動をすべて終えることになっていました。

後に「公開処刑」と呼ばれることになったSMAP5人の謝罪生放送(『SMAP×SMAP』より)

 グループとして最後の出演、番組の終わりに彼らは1曲だけ、持ち歌を歌いました。

「世界に一つだけの花」です。

 曲の最後、サビの歌詞のあとの振り付けはいつもなら、メンバー全員で腕を大きく左右にふります。

 ですが中居さんはそこで、大きく手を開きました。そこから1本ずつ指を折りたたんでいく。そうしてグーのかたちになった手をまた勢いよく広げ、「バイバイ」でもするように左右にふりました。

 最終回だというのに、思いの丈をたっぷり述べられるわけでもない。そもそも本来なら、ライブを開いて終わらせたりしたかっただろうけれど、そうもいかなかった。

 いろんなくやしい思いがよぎるなか、彼はその場で自分にできる精一杯のことをして、どうにか気持ちをファンに伝えようとしたんじゃないでしょうか。

歌い終わったあと、目に涙が光っていた

「ちゃんとさよならをしたかった」なのか「いつかまたそろって会おう」ということなのか、表現の真意はわかりませんが、自分のできることでなんとか思いを伝えようとするのが、中居さんらしかったです。 

 さらには歌い終わったあと。深々と頭を下げたメンバーたちが顔を上げると、中居さんの目には涙が光っていました。

 タレントとしての我がことだけ考えれば、泣かないほうがイメージに合うかもしれない。絶対に涙を我慢しようと思えばそれもできただろうし、ああいう場面で泣くことをかっこ悪い、潔くないと捉える人だっているでしょう。

 でもあのとき、きっと中居さんは自分自身のことよりもグループのこと、メンバーのこと、そしてファンのことを第一に考えていたはずです。