以後も松本は地道にキャリアを重ね、32歳で映画『愚行録』に出演。ここでの演技が高く評価され、第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞すると、『相棒』や『科捜研の女』などの人気シリーズ、さらにNHK大河ドラマにも出演。
だがゲスト出演が多く、主演どころかレギュラー出演にもなかなか恵まれなかった。デビューが順調だっただけに、この時期の停滞感はいなめない。
そんな松本の一大転機となったのは、37歳で出演したNetflixとフジテレビ共同発信のドラマ『金魚妻』、Paraviとテレビ東京発信の『復讐の未亡人』だった。
黒澤Rの大ヒット漫画を実写ドラマ化した『金魚妻』で松本は、頭痛に悩む主婦役を演じて新境地を切りひらいた。主婦役の松本は、眞島秀和演じる不倫相手とのキスが濃密に描かれる。上半身を脱ぎ、下着もあらわにリビングの床で眞島と繰り広げるディープ・キスが繰り返され、2人の顔は汗で湿っていく……。不思議な背徳感がある。
ディープキスから全身へ、そして机の上で腰を…
そしてデビュー16年にしてついにゴールデンのドラマで本格主演を射止める。それが『復讐の未亡人』だ。ストーリーも強烈だが、松本が展開するハニートラップの濡れ場が大いに話題に。
「episode1」では、夫にパワハラを働いた直接の上司(松尾諭)に接近。
「上司の鑑(かがみ)ですねぇ。頭が下がります」と言いながら背中に頬ずり。喘息持ちの課長に薬を用意するが、「課長……」と言って舌の上に乗せて差し出す。つまり口うつしだ。
2人はそのままディープ・キスに突入。課長は松本の首回りから胸、腰、下半身と愛撫をエスカレート。次第に喘ぎ声をあげる松本。獣のように抱き合い、松本の息づかいもさらに荒くなる。課長室の窓からブラインド越しに夕陽が漏れ、炎のような光をバックに2人の情事が展開される。そして課長のデスクの上で2人は激しく互いに腰を揺り動かす。なんとも美しくも官能的なシーンだ。