スカイハイは古風な正統派のハンサムで、喋りも態度も王子様。長らく守ってきたナンバーワンの座を失いそうになっても、パトロールを欠かさないド真面目な努力家だが、天然で頑固な一面もある。
そのスカイハイが、ある日公園で出会った少女に恋をするが……という展開は、才能や容姿に恵まれ、悩みなど何もない「持てる側」に見えたキャラクターの、人間的な悩みや意外な素顔を深く掘り下げる効果がある。
そして今見ると、このスカイハイが『虎に翼』で岩田剛典が演じた花岡に見えてくるのだ。
ハンサムで優秀な王子様然としているが、優秀な兄と比べられ、帝大生の前ではスンとしてしまう弱さもあり、戦後に裁判官としての正しさと人としての正しさの板挟みになり、闇市の食物を拒否して亡くなってしまう不器用さもある花岡。花岡には山口良忠判事という実在のモデルがいるが、「持てる側にも悩みがある」という視点は一貫している。
主人公・虎徹の若くてイケメンなバディであるバーナビーも、『虎に翼』の航一(岡田将生)に見えて仕方がない。
「直接ではなく、本人がいないところで第三者にのろけるのがエモい」
クールな現実主義者で、最初は虎徹を「おじさん」と見下していたが、徐々に虎徹の優しさや器の大きさを知るなかで強い信頼を抱くようになり、後には虎徹の優しさを他者に力説するまでに。
航一も最初は寅子に対して「なるほど」しか言わない塩対応だったが、後に大っぴらに寅子との関係をのろけている。「直接ではなく、本人がいないところで第三者にのろけるのがエモい」という演出は共通している(航一は終盤は臆面もなくいちゃついていたが)。
「タイバニ」に吉田の色が強く出てくるのは、2022年の2期からだ。
2012年には大学生だった吉田も30歳を超え、結婚・出産も経験していた。主人公2人の関係がメインだった1期以上にサブキャラクターの描写が増え、「誰も見捨てない」という意志を感じる脚本になっている。