いい意味で物凄く“下品”
ヒャダイン 「マスが好きなものを供給している日テレというのは大したものだなと。だからいい意味で日テレって物凄く“下品”」「ビジネスとしてちゃんとやっている。テレビの種火を消さないようにしてくれているじゃないか」って答えましたね。
戸部田 そうなんです。その「いい意味で下品」というのにすごく膝を打ったし、「テレビの種火を消さないようにしている」という視点に感銘を受けたんです。それで一気に取材や執筆に対するスタンスが決まりました。
ヒャダイン そんなきっかけになれたんですね!
フジのピカピカした感じが好きだった
戸部田 ヒャダインさんは90年代頃の日テレはどのように見ていましたか?
ヒャダイン 『(クイズ世界は)SHOW by ショーバイ!!』とか『(進め!)電波少年』がありましたよね。僕の地元では(日テレではなく)読売テレビで、10チャン。やっぱり僕はフジッ子だったので、番号的にも8と10で、10のほうが後ろなので、なんか下位互換みたいなイメージは若干ありました。で、『24時間テレビ』もあまり好きではなかったですし、正直、当時はフジのブランドっぽいほうが好きでしたね。フジのピカピカした感じが好きで、ちょっとやっぱり日テレは、テロップの発明とか、ワイプの発明もそうなんですけど、押しつけがましさがあって。バラエティとかクイズ番組でも、こう楽しめ、ああ楽しめと指定している感じがあって、正直、当時はあまりハマらなかったですね。
戸部田 それは今も変わらず?
ヒャダイン いや、今は正直、日テレ見ていますね。高橋さん(利之、『行列のできる法律相談所』など)、古立さん(善之、『イッテQ!』など)の、いわばネクスト土屋世代。
高橋さん、古立さんの演出というのは、前の世代のフレーバーを残しつつも、こちらに余白を残しながら、視聴者の代弁をしてくれている感じが強い。『(月曜から)夜ふかし』(演出・古立善之)を見ていても、キテレツな素人さんが出てきたときに、テロップやナレーションが、視聴者の一つ上をいく刺し方をしてくれる。それが今っぽいなと思って。
こっちにこうしましょうじゃなくて、視聴者がこう思っているから、代わりにもっとえげつない刺し方しておきました、と。
『イッテQ!』もそうですよね。演者のことをいじるんですけど、それは『電波少年』のときに松村(邦洋)さんとか、出川(哲朗)さんをボロボロにしたあの感じではなくて、演者にある一定のことをさせて、その行動にチャチャを入れる。という番組作りが『夜ふかし』『イッテQ!』『行列』『しゃべくり007』『深イイ話』に共通してますよね。そこらへんがちゃんと時代とも合っているし、僕もそのスタンスが好きなので、見ていますね。