文春オンライン

ヒャダインが語る「“常勝”日テレの凄さと“エグさ”」

ヒャダイン×てれびのスキマ「日本テレビのえげつない勝ち方」#1

note

飲み会で業界の垣根を越える

戸部田 今回の本で改めて光を当てたいと思ったのが加藤光夫さん(故人、『元気が出るテレビ!!』など)なんです。

ヒャダイン すごい方だったと初めて知りました。

©深野未季/文藝春秋

戸部田 取材したほとんどの方が、自分の恩人だったり、功労者として名前を挙げるのが加藤さん。90年代には日テレの編成部長として活躍された方です。

ADVERTISEMENT

 その加藤さんはすごく飲みの席を大事にされる方だったそうです。「加藤光夫の三段重ね」などと呼ばれるほどで、たとえばスポンサー、代理店、日テレ関係者それぞれと同じ日に時間をズラして飲む。すると、そのまま残った人と新たに来た人との交流の場に自然となっていったっていう。それが風通しの良さにつながって日テレが元気になっていく過程としてすごく重要だったんじゃないかと思います。

ヒャダイン フジテレビも河田町にあった頃は、そういうことができたと思うんです。分岐点ですよね。

大部屋戦略が生み出すものとは

戸部田 じつは今回、本を書く過程でフジテレビ側にも取材を行ったんです。それでフジの方がおっしゃっていたのは、河田町の社屋では、1フロアに制作、編成、営業が全部まとまっていたことが大きかったと。

ヒャダイン NHKの『新春テレビ放談』で、テレ東の伊藤さん(隆行、『モヤモヤさまぁ~ず』など)がいらっしゃっていて、いろいろ聞いたんですけど、やっぱり大部屋らしいです、六本木の新社屋。そこは縦割りにしないようにと。ああ、この会社はなんて安泰なんだろうと思いました(笑)。

©深野未季/文藝春秋

戸部田 フジテレビはその頃、1フロアもそうなんですけど、やっぱり編成がちゃんと部屋の真ん中にあって、しかも年齢もあえてバラバラに配置して、部署の違う人同士を話しやすくしていたと。なるほどなと思いました。

ヒャダイン どうしてもフジの話になっちゃいますね(笑)。でも日テレって、節約上手っすよね。日テレのギャラが高くないというのは、芸能人の中では言われますね。

戸部田 え、そうなんですか(笑)。

ヒャダイン でも、それが日テレのえげつなさの真髄じゃないかと。

戸部田 ほう、それはどういうことですか? (第2回へつづく[5月18日公開予定])

 

『全部やれ。』を書くきっかけとなった対談「“テレビっ子”ヒャダインが語るテレビのこと」
http://bunshun.jp/articles/-/1236
http://bunshun.jp/articles/-/1237
http://bunshun.jp/articles/-/1238

 

ヒャダイン/前山田健一。1980年、大阪生まれ。3歳の時にピアノを始め音楽キャリアをスタート。京都大学を卒業後、2007年より本格的な音楽活動を開始。ももいろクローバーZ、私立恵比寿中学やでんぱ組.incなど様々なアーティストへ楽曲提供を行う。自身も『PON!』(日本テレビ)などTV、ラジオレギュラー多数。

戸部田誠/1978年生まれ。2015年にいわき市から上京。ライター。ペンネームは「てれびのスキマ」。お笑い、格闘技、ドラマなどを愛する、テレビっ子ライター。『週刊文春』『週刊SPA!』『水道橋博士のメルマ旬報』などで連載中。新刊は日テレがいかに絶対王者フジテレビを逆転できたのかを描いた『全部やれ。』、主な著書に『笑福亭鶴瓶論』、『1989年のテレビっ子』など。

全部やれ。 日本テレビ えげつない勝ち方

戸部田誠(てれびのスキマ)(著)

文藝春秋
2018年5月11日 発売

購入する
ヒャダインが語る「“常勝”日テレの凄さと“エグさ”」<br />

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー