日本最大の暴力団・山口組の顧問弁護士という特異な仕事を25年続けた山之内幸夫氏は、組の最高幹部らと会う機会も多かった。暴力団の幹部とはいったいどんな人々なのか――4代目山口組組長が女性を口説く驚愕の文句や、バブル時代の異様な“遊び方”などを明かす。(全3回の2回目/続きを読む)
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ーー3代目山口組時代の小田秀組の顧問弁護士から、山之内さんは山口組本家の顧問にも就任されたんですよね。
山之内 山口組全体の顧問になったきっかけは(後に5代目山口組ナンバー2の若頭に就任する)宅見勝さんでした。宅見組傘下の組員の刑事弁護を引き受けていたらウワサが親分に伝わったようです。山口組と傘下の山健組や宅見組らが松田組と対立した「大阪戦争」では、和歌山で宅見組組員が相手方の組員を殺害した事件の刑事弁護を依頼されました。
ーー殺人事件の実行犯は逮捕されましたが、たしかに宅見組長は逮捕されていません。
山之内 実行犯と事件の見届け人が逮捕され、この見届け人が宅見さんの名前を供述していました。しかし結局、宅見さんの殺人への関与は認定されませんでした。そのことに恩義を感じてくれて、4代目山口組の顧問も依頼されたんです。
宅見勝の刑事弁護がきっかけで山口組顧問弁護士に就任
ーー山口組本家の顧問料は、やはり通常よりも高額なのですか?
山之内 いや、暴力団からたくさんお金をもらうのは僕が嫌だったので、10万円にしました。個別の事件の弁護でも相応にもらいますので。顧問料自体はそれでよいと思っていました。私がむしろ少なくしてくれとお願いしたほうです。
ーー小田秀組や山口組本家からの支払いは、違法収益が原資になっていると思われますが、そのことについて葛藤はありませんでしたか?
山之内 それは全然ありませんでした。顧問を引き受けてお金儲けしようという意欲がなかったので、金額も関心がなく、それが違法収益から来てるのではないかと思いを致すこともありませんでした。
ーーそれでも、ヤクザの顧問弁護士になることに対して世間の視線は冷たかったのでは?
山之内 当然、そうですわね。「ヤクザの顧問弁護士になってくれますか」と言われたら、普通は「嫌です」となるでしょうね。組織の運営を助けて悪知恵を授けている、と中傷を受けたこともあります。