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「男の仕事で命が懸かるのはヤクザだけですわ」宅見勝が語った本心

ーー感覚が乖離しすぎていますね……。宅見さんはいかがですか。

山之内 宅見さんの大阪のご自宅にはよく行っていました。会話の中で、「なぜ、この仕事をしているのですか」と聞いたことがあるんですが、「先生、男の仕事で命が懸かるのはヤクザだけですわ。ワシはそれが面白い」と言っていました。実際に宅見さんは、命を取るか取られるかのところまで押していくタイプで、裁判で無期懲役になりそうなことも何度もありました。その後、5代目山口組内部の対立で本当に殺されてしまいましたが。

©深野未季/文藝春秋

あの時代のヤクザは「おカネを持っている人」という印象だった

ーー5代目体制が発足した1989年はバブル景気のピークの時代。宅見さんは地上げを資金源にして億単位のカネを動かしていたことは業界ではよく知られていました。

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山之内 あの時代は、ヤクザというと「おカネを持っている人」という印象がありました。資金源は、バブルで滅茶苦茶に値上がりしていた不動産が多いです。その地上げを担ったヤクザ社会に大きなおカネが流れてきました。宅見さんは「経済ヤクザ」と言われ、宅見組の周りには地上げ業者がたくさんいましたから、カネを湯水のように使うのが習慣でした。

山之内氏提供

飲み代に月500万円…バブルに浮かれたヤクザたちの“豪遊ぶり”

ーー当時の豪遊ぶりはどんなものだったのでしょう。

山之内 宅見組の幹部に飲みに連れていかれるのは大阪のミナミが多かったです。月に1人500万円くらいは普通に使っていて、服も全身ブランドもの。車はリンカーンのコンチネンタルで、指輪や時計も何億もする高級なものでした。クラブで女の子に見せびらかして、話題もブランドの話ばかりでした。ただ大きなカネを手に入れてはいても、貯蓄して将来に備えている人はあまりいなかったですね。クラブで散財するばかりでしたね。

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 山之内氏は国内最大の暴力団組織の顧問弁護士を務めてきたが、弁護士資格を失う事態となる。ただ、近年はかつての経験を生かしたYouTuberとして活動している。#3ではその実態について語る。