「石破茂総裁に決まって、ほっとしました」

  石破茂氏が勝利した自民党総裁選を注視していた韓国政府のある関係者は、安堵した口ぶりでこう話した。

「決戦投票で逆転勝利したときは、思わずやったーと声をあげました。靖国神社参拝を明らかにするなど、高市早苗氏は韓国で“極右”として認識されています。高市氏が首相になれば韓日関係はかみ合わず、また関係が悪化するかもしれないとやきもきしていました」

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石破茂氏 ©︎時事通信社

「安倍元総理を批判し、韓日関係に前向き」

  韓国の大統領府も、石破総裁誕生に歓迎ムードだった。決選投票の決着後、すぐに「新しく出帆する日本内閣と緊密にコミュケーションをとりながら韓日関係の肯定的な流れをつなげていくためにつづけて協力していく」などのメッセージを寄せた。

 ニュースも速報で報じられた。聯合ニュースは「日本の次期首相に韓日歴史認識ハト派の石破茂」と歴史認識について触れて報じ、進歩系のハンギョレ新聞は決戦投票の様子を詳細に紹介。なかでも目を引いたのが記事中の写真で、「こわもて」のイメージからはほど遠い、猫を抱きかかげた満面笑顔の写真(フェイスブックから引用)だった。

石破茂氏の妻・佳子さん(右) ©︎時事通信社

 保守系の朝鮮日報も「日本の次期首相に石破茂…右翼勢力とは異なる新しい歴史観」と今までの首相と異なる歴史観について触れ、石破総裁が自身のブログに書いていた「我が国が敗戦後、戦争責任と正面から向き合ってこなかったことが多くの問題の根底にあり、それが今日様々な形で表面化している」という言葉を引用した。

  翌朝もトップで報じ、石破新総裁についての報道は止まらず、「非主流」「ミスター辛口」、「穏健派」というキーワードが並んだ。

 保守系の東亜日報は「保守強硬派だった安倍元総理を批判し、非主流だった石破氏は有力政治家の中でも韓日関係に比較的前向きであるという評価がある」と書き、石破氏が2017年に同社のインタビューで「歴代総理が謝罪の意思を明らかにしても韓国で受け入れられないことへの挫折感は大きい。それでも納得してもらうまで続けて謝罪するしかない」と語ったことを紹介。日韓関係の前進に期待感をにじませた。