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積極的に応援するタイプの選手ではなかった

――青木選手の存在というのは、尾崎さんの中でどういう風に変わっていったのでしょうか? 本の冒頭には2005年から2011年のスワローズ時代について「自分が積極的に応援するタイプの選手ではなかった。(中略)正確に言えば応援すらさせてもらえなかった」と書かれています。

尾崎 突然出てきて、あっという間に中心選手になって、圧倒的な成績を残していたという感じです。小学生の頃からヤクルトを見続けてきてそんな選手は見たことがなかった。自分の中にデータがないから、まるで助っ人外国人選手を見ているようでした。しかも、淡々と自分ができることをやる、そんなクールなイメージで“応援すらさせてもらえなかった”というのがぴったり当てはまります。

©文藝春秋

――メジャーリーグを経て、2018年にスワローズに復帰した後はどうでしょう?

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尾崎 まずヤクルトに帰ってきてくれたことに驚きました。朝の5時に友達から連絡が来て、ニュースを見た時の喜びは今も忘れられないです。特に前シーズンが96敗した年だったので。そこからまた、当たり前のように成績を残して、その上でプレースタイルも大きく変わっていた。まるで別人になっていて、すぐに強く惹きつけられました。

青木宣親選手と肩を組む尾崎世界観 ©深野未季/文藝春秋

――こんなに熱い選手だったんだ、と驚くことも多かったとか。

尾崎 そうですね。喜怒哀楽の全てが、自分のためというより、チームのためにあるというのが印象的でした。メジャーに行く前は自分のための感情すら押し殺しているイメージだったので。

――本を作るにあたって、今まで分かり得なかった青木選手の内部を掘り下げていくような時間になったと思います。「青木宣親」とはどんな人間だと感じましたか?