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パワプロで言うと…

尾崎 青木さんは本当に“変わらない”方だと思います。取材もそうですが、会見もヒーローインタビューも、おそらくベンチで選手と話している時もそうだと思う。人として安定していて、周りに対しての感覚が一定なんです。でも、実はそう見えるだけで、青木さんの方では細かい微調整をしているはずです。

©文藝春秋

 ちょうど打席で相手投手に合わせて少しずつフォームを変えていくように、常に自分を見つめ直しながら、相手に対して自分をフィットさせていく。それも堂々と振る舞いながら、自分というものを相手に一番いい状態で当てていく……。パワプロで言うと、人としてのミートカーソルが本当にデカいんです(笑)。

――『青木世界観』は「チャンス」、「才能」、「技術」など9章あり、各テーマを通してまさに青木選手の「世界観」を窺い知ることができます。

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尾崎 タイトルだけは最初から決まっていました。これは青木さんが決めたものなんです。ある日、「青木世界観がいいと思う!」って。

――尾崎さんが最も印象に残っている部分はどこでしょうか?

尾崎 この章、というよりは全9章を通して、どんな角度から話を聞いても、まったく同じところにたどり着くのが印象的です。それだけプロ野球選手は1つのところに向かって考え、行動し、積み重ねている。あらためてなぜ自分がプロ野球を好きなのか、青木さんが好きなのかが分かりました。あとは高校から大学のはじめくらいまでの部分は、まだ固まり切っていない時期の青木さんを知ることができて嬉しかったです。

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――青木選手自身も高校時代は「とてもプロ野球を目指せるような選手ではなかった」と言っていました。高校の修学旅行で部屋を抜け出して……というエピソードも楽しいです。

尾崎 その頃の青木さんと、今の青木さんが繋がる感じがしないんですが、あるところで急に変わる。凄いところまで行く人はそういう“向こう側に選ばれる”瞬間があるのかもしれないですね。選ばれて、残り続ける。もちろん、青木さんがそこに見合った努力をされてきたからこそだと思いますが。