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ーー「今日、透析しましょう」と言われても実感が湧かなかった。

義太夫 糖尿病になった時もそうですけど、そもそも透析がどういうものかわかってなかった。いまになって思うと、もうちょっと勉強しておけばとは思いますね。透析がどういうものか、自分がそうなってからやっと勉強しましたから。

「これから一生やらなきゃいけない」

ーー「今日、透析しましょう」と言われて、すぐにできるものなのですか。

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義太夫 シャントっていう、動脈と静脈を繋いだ血液の出入り口を手術して作らないといけないんです。でも、作って使えるようになるまで3週間ぐらいかかるんですよ。だから、動脈にカテーテルを入れて、そこから緊急透析したんですよね。

ーー当初はどれくらいのペースで透析を。

義太夫 スタート時は、1時間半の透析を週2回と言われて「これから一生やらなきゃいけないけど、90分週2回ならなんとかなるか」と思ったけど、それって入院して食生活も全部管理されての話なんです。

 で、2週間入院して退院するときに「退院すると、食生活とか普通になって、透析時間とか増えちゃうから。そこは気をつけてくださいね」と言われたんですよ。そのとおりになって、退院後初めての外来で、2時間になって。そこから、3時間になり、気付いたら5時間を週3回になっちゃって。

 

自己判断による通院中止が多い

ーー透析を受けると、体調は良くなるわけですよね。

義太夫 血液の汚れ具合が少なくなるので、良くはなりますね。

 でも、そうやって少し取り戻すってところが糖尿病の怖さのひとつで。息切れとかめまいはあっても、「痛い!」とかがないですから。体調が悪いのが、限界にいくまで実感しにくい。それで僕も含めてなんですけど、「もう治ったんだよね」と思っちゃう人が多い。薬を飲まなくなったり、インスリンを打たなくなったり。そうした自己判断による通院中止が、多いんですよ。で、行かない間にどんどん症状が進行していっちゃう。

 

腎臓の機能がほとんどゼロ

ーー糖尿病になると血糖値が下がりにくくなるので、インスリンを注射しなければいけませんよね。透析を受けるようになってもインスリンは必要に?

義太夫 透析すると、血糖値は下がるんですよ。普通の人って空腹時の血糖値が100mg/dL前後なんですけど、僕もそれぐらいに落ち着いてはいます。これも怖いところで、あくまで腎不全で透析を受けているから落ち着いているだけの話で、糖尿病が治まったわけじゃないんですよね。さらに言うと、透析を受けてるというのは、腎臓の機能がほとんどゼロってことですからね。