ーー「遺伝で糖尿病になってしまう人」は珍しくない?
義太夫 糖尿になったとき、血糖値が630mg/dLだったんですよ。普通が100mg/dLだから、先生が「こうやって、私と話してるのが不思議なぐらいの数値ですよ」と驚いていて。僕も、暴飲暴食だったけど、その頃はそうでもなかったし、甘いものも好きじゃないから、糖尿って診断に軽く驚いたんですよ。そうしたら先生が「いや、甘いものとか関係ないです。糖尿病の一番の原因は遺伝ですから」と。
こりゃ、糖尿のサラブレッドだな
ーー糖尿家系ですか。
義太夫 先生に「親戚に糖尿の方とかいませんか?」と訊かれて。調べてみたら、糖尿病で死んでる人が、母方にも父方にもいたんですよ。だいたい、僕の親父も糖尿でしたから。こりゃ、糖尿のサラブレッドだなと思いました(笑)。
まあ、糖尿から透析になるのは、自分の気をつけ方次第で遅くすることはできたと思うんです。だから、そこはすごい後悔はしてるし、気をつけたほうがいいですよというのは、講演会やインタビューで言うようにはしているんですけど。
「じゃあお前、芸名変えなきゃいけねえな。」
ーー師匠のビートたけしさんは、義太夫さんが透析を受けることを知って、どのような反応を。
義太夫 殿には、真っ先に報告に上がったんですよ。「透析を受けることになりました」って。そうしたら「ああ、そうか。じゃあお前、芸名変えなきゃいけねえな。夏目透析ってどうだ?」って言われました。
写真=石川啓次/文藝春秋