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社長のどこがいいかって、やっぱり優しいところ

 今の社長になって、社内のコミュニケーションがよくなった。会議を頻繁に開いたり、きっちり面談したりしているのは大きいと思うよ。先代の頃は、会議なんて全くなくて、取ってきた仕事を何でもかんでも「やれ、やれ」ってね。「ケンカしてでもいいから、これを何時までに仕上げろ」って感じ(笑)。

 今は仕事を取ってきたら、どうやってつくるのがいいかをみんなで相談しながらやってる。誰かが不良品をつくっちゃった場合は、報告書を書かせて、みんなが集まった時に確認して、対処法も話し合うようにしている。

@稲垣純也

 そうすると、職人たちから「ここはこういう風にやった方がうまくいくんじゃないか」っていう意見が出てくるんですよ。不良を出しちゃった本人も、失敗の原因や次の対処法がわかるし、周りの人間も、「次に自分がやる時には気をつけよう」と思う。すごくいい循環が生まれていると思うよ。

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 ダイヤ精機で人材がうまく定着しているのは、やっぱり社長の存在が大きいだろうね。社長のどこがいいかって、やっぱり優しいところですよ。今はあんまり働かせちゃダメっていう時代じゃん。社長も「ちゃんと休んで」ってよく言っているよね。この前も、若い社員が「本当はもっと仕事したいけど、社長に『休め』と言われたから休みます」って言ってた。本心では、休ませてもらえてうれしいんだよ。

 社長は女性っていうこともあって、気遣いが細やかだよね。先代の頃は、「寝ないでやれ」って言われていたんだから大違いだよ(笑)。高度経済成長期で仕事が山ほどあったからだけどね。

蓄えはギャンブルに使っちゃったから(笑)

 今、僕は個人事業主として、月曜から金曜の週5日、9時~17時で働いています。

 フライス盤を使って、切り出す作業を担当しているよ。

 70歳が定年だったけど、蓄えは全部ギャンブルに使っちゃったから辞められない(笑)。年金だけじゃ食っていけないし、ギャンブルの資金も必要だし、当然のように仕事を続けていますよ。

 今、ダイヤ精機は大手自動車メーカー向けの製品が多いけど、それだと売り上げには限界がある。これからはオリジナル製品をつくっていきたいね。設備は揃っているし、技術もある。設計者もいる。オリジナルブランドで売れるものをつくれたらいいよね。僕が今、ダイヤ精機の未来に向けて願うことはそれぐらいだな。