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衆院選で「恩返しする」と約束したはずが...

 朝日新聞の社会面に「石破の恩返し」が書かれていた(10月10日)。菅家氏は裏金問題で6カ月間の党役職停止処分を受けたが、総裁選が始まる前日に開いた自分の講演会に石破氏が出席していた。報道陣に非公開だった講演会で石破氏は総裁選の必勝を誓ったという。

 そして、《首相となったあかつきには、衆院選で「恩返しをする」と約束。「菅家氏の選挙カーに乗り込んで選挙区を回ります」とまで語ったという。》

 これを聞いて喜んだ菅家氏は石破選対に入り、1回目の投票から石破氏に票を投じた。しかし今回の処分で非公認になった。石破氏から「恩返し」があるはずが講演会での約束は1カ月経たずに反故にされたというのである(10月12日に菅家氏は出馬断念を表明)。

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党首討論で質問を聞く石破茂首相 ©時事通信社

 石破首相は前回比例復活当選だった菅家氏に「選挙区で勝つしかない、谷底から這い上がってこい」とあえて厳しい試練を与えたのかもしれない。これが「恩返し」の本当の意味だったのかもしれない。そんなわけないか。

 この手の政治記事を読むと裏切りとかやるかやられるかなど仁義なき戦い的な世界が思い浮かぶものだが、石破氏の場合は逆だ。シビアというよりふにゃふにゃした読後感しかないのだ。

 政治記者からすれば政局に興奮したいのにさせてくれないのが石破政権ではないか。自民党の「内戦」の実態は、安倍派が怒りまくる一方で石破氏が全般的にフラフラしているという、なんとも嚙み合わない姿が見えてくるのである。