冒頭に書いた衆院選で自民党議員の一部を非公認とする方針である。これは信念に基づく政策なのか、権力闘争という政局なのか、それとも単なる選挙対策なのか? 言葉の裏に惑わされないために政局と政策を両方とも見るのは大事だ。
権力闘争になると保存したくなるような発言が多い。今回の石破vs.安倍派をめぐって新聞各紙に載ったコメントを紹介しよう。
石破首相の決定に安倍派議員から悲鳴が...
“優勝”は毎日新聞に掲載された次の言葉だ(10月7日)。
《「党を分断する史上最低の決定だ」――。石破首相の決断を受け、安倍派議員らは悲鳴交じりに激しく反発の声を上げた。》
強烈すぎる「分断」という言葉! 現在公開中の映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は内戦の勃発により戦場と化した近未来のアメリカを舞台に描いているが、こちらは自民党の分断、内戦勃発そのもの。『シビル・ウォー』ならぬ『シゲル・ ウォー』である。
さらにこの記事では「安倍派議員はこうまくし立てた」とある。
「自民党の一致団結なんてもうない。(石破首相は)作られた世論に迎合して仲間を売るリーダーだ」
パワーワードきました。「作られた世論」「仲間を売る」。この被害者意識はすごい。
読売新聞には石破首相に理解を示す自民党内の言葉が載っていた(10月7日)。
「地元の風当たりは相当厳しいが、これで局面が変わる」
「萩生田氏らが非公認となったのは象徴的で有権者に分かりやすい」
安倍派議員「完全な切り捨て」“内戦状態”の自民党
しかし安倍派議員らは「完全な切り捨てで、選挙で勝っても石破政権を支えることはもうできない」などと猛反発しているとも。
さらに岸田内閣で閣僚を務めた安倍派議員は、
《「安倍さんが『石破だけはダメだ』という態度だったのは正しかった。若手がかわいそうで情けない」と嘆いた。》(10月8日)
やはり内戦だ。
具体例で凄かったのは福島3区に立候補予定だった菅家一郎氏である。