毎年8月、海水浴場の砂浜に『うんこ』を作る人物がいる。ただの『うんこ』ではなく、漫画のように美しくツイストしたもの、丸みを帯びたもの......SNS上にアップされた数々の「作品」には数万いいねがつくことも多い。

 20年以上、砂浜で『うんこ』を作り続けているあわわ氏(仮名)に、なぜ『うんこ』を作り続けるのか話を聞いた。

砂浜に突如現れた美しすぎる『うんこ』。海とのコントラストもまた美しい(あわわ氏提供)

──まず、なぜ砂浜に『うんこ』を作ろうと思ったのか教えてください。

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あわわ 小学生のときから、夏の家族旅行で愛知県・篠島の海に行くことが恒例になっていました。でも中学生の頃って親と一緒に海なんか行きたくないじゃないですか。それでも無理やり連れて行かれたので、腹いせで海に入らずにいました。代わりに砂浜に居座ってボーッとしていたんですが、暇で暇で。暇つぶしで砂遊びをする中でうんこを作り始めたのがきっかけです。

家族への嫌がらせのつもりが、むしろ喜ばれた

──なぜ砂遊びの中で『うんこ』を作ろうと思ったのですか?

あわわ 家族に嫌がらせがしたかったんだと思います。そのときはまだ芸術性を考えていなかったので、鏡餅のように巻かずに3段載せただけの『うんこ』でした。

初期に製作した『うんこ』はあわわ氏にとって家族への“抵抗の象徴”だった(写真は2008年のもの。あわわ氏提供)

──無理やり海に連れていかれた腹いせに作った『うんこ』ですが、家族からの反応は。

あわわ せっせと『うんこ』を作っていたのが面白かったのか、なぜかみんな喜んでくれて。それがちょっと楽しくもありました。翌年からは海に行くたびに家族から「今年は作らんのか?」と煽られるようになったので、「作ったらぁ!」と。「今度は巻かんのか?」と言われて、「巻いたらぁ!」と。

──それから毎年作るようになった?