日本一人口の少ない村、青ヶ島村在住のYouTuber・佐々木加絵さんが“島暮らし”を発信する連載企画。
東京都心から約360km離れた人口162人(2024年9月1日時点)の小さな島・青ヶ島。交通手段が限られていて、簡単に上陸できないことから、別名「絶海の孤島」と呼ばれている。
そんな青ヶ島の日常をYouTubeで発信しているのが、佐々木加絵さん(40)。「私にとっては普通なのですが、島外の人からすれば、青ヶ島の日常は非日常なのかもしれない」と話す加絵さんは、いったいどんな“島暮らし”を送っているのだろうか。今回は、今も島に語り継がれる歴史「還住」をテーマに、青ヶ島の日常を紐解いていく。
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活火山島である青ヶ島
青ヶ島は、伊豆諸島からマリアナ諸島へ連なる火山島のうちの1つだ。島の南側には1785年の「天明の大噴火」で隆起した大小2つの火口があり、世界的にも珍しい「二重カルデラ」として知られている。2014年には、アメリカ環境保護NGO「One Green Planet」が発表した「死ぬまでに見るべき世界の絶景13」にも選ばれている。
「青ヶ島は活火山島とはいえ、最後に噴火が観測されたのは1785年です。だから普段は『活火山の上に住んでいる』なんて意識せずに生活しています。
ただ、地域によっては火山島であることを実感する場所もあります。青ヶ島のシンボルでもある『二重カルデラ』がある池之沢では、火山の熱で蒸された水蒸気、通称“ひんぎゃ”(“火の際”を語源とする島言葉)が発生しています。島に電気が通っていなかった時代には、このひんぎゃをエネルギーとして、暖房や調理に利用していたんだそう。現在でも、池之沢にはひんぎゃを利用したサウナや地熱釜、そして青ヶ島の特産品『ひんぎゃの塩』の工場があります。
島民はひんぎゃを利用した天然のミストサウナに通っている
青ヶ島にある『ふれあいサウナ』の温度は、50~60度と言われています。数字だけ見ると、『ぬるいのかな?』と思う人も多いかもしれません。でも、ひんぎゃを利用した天然のミストサウナは、実際はかなり暑い。季節によって温度が変わるのも、自然の熱を利用しているからこその特徴です。1回300円で利用できるから、毎日通っている島民もいるんですよ。
サウナの隣にある、ひんぎゃの蒸し釜『地熱釜』も島民御用達です。野菜や肉、魚などいろんな食材を蒸せるんです。なかでも、私のお気に入りは卵! パックごと入れて30分ほど蒸すと、良い感じにホックホクなゆで卵ができあがります。
ひんぎゃの影響は他にもあります。例えば、高温の水蒸気が発生している池之沢は、冬でも温かい日が多いんですよ。昨年は、12月に半袖を着ていても汗ばむような日もありました。
また、ひんぎゃで温められた地面はとっても温かく、寒い日でも地面はホカホカ。冬の夜の池之沢で寝転ぶと、天然の床暖房で温まりながら、満天の星を見られるかもしれません」(佐々木加絵さん、以下同)