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体内に「呪物針」を3本入れてもらったら…

――コミックエッセイの中では、田中さん自身が身体に「呪物針」を入れる描写がありました。

田中 僕は、胸に2本、左肘に1本入っています。タイの呪術師に入れてもらったのですが、不思議と痛くなかったんですよね。ただ、「入れる瞬間を絶対に見てはいけない」と念押しされました。少しでも見てしまうと、針が目を突き刺してしまうそうです。

 僕は勘が鈍いからか、3本しか入らなかったんだけど、徳の高いお坊さんだと、300本以上の針を体内に入れている人もいるんですよ。皮膚を見るとボコボコしている箇所がいくつもあって、見た目でも「たくさん針はいってるんやな」って分かるくらいでした。

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タイで体内に「呪物針」を入れた田中さん(『ぼくと呪物の奇妙な生活 最恐呪物蒐集編』より)

――その後、針の効果は感じていますか?

田中 分かりやすく何かがあったわけではないんですけど、「人に恵まれているな」って感じることは最近多いですね。「ちょっとな……」と思う人とは距離を取れるようになったというか。単に僕が成長しただけかもしれないけど(笑)。針の効果で“人を見る勘”が働くようになったのかな、と思っています。

 実は最近、針以外に刺青も入れたんですよ。かつてタイには、ホン先生というめちゃくちゃ有名な呪術師がいて。1年に一度、ホン先生の弟子たちが開催する呪術のセレモニーがタイで行われるんです。それに参加させてもらったときに、雰囲気的に入れざるを得なくなってしまって……。

自分の顎を剣で貫いて…呪術セレモニーで行われる儀式

――呪術のセレモニーでは、どんなことを行うのですか?

田中 ホン先生は、自分の顎を剣で貫いて、そこから溢れ出る血を使って呪物を作っていたんです。その手法は、先生の弟子にも伝わっていて。セレモニーでは、何人もの弟子たちが一斉に上顎に念を込めた刀を突き刺して、床に並べた道具に血を吹きかけて呪具を作る、という儀式を行うんです。

 

――すごい光景ですね……。

田中 日本人の感覚からしたら信じられないですよね(笑)。弟子の中には僕の知り合いもいて、「田中も一緒に挑戦しないか?」って誘われたんですよ。絶対痛いし、僕の血で呪物が作れるわけないじゃないですか。だからその場はなんとかしのいだんですけど、今度は弟子たちがこぞって「刺青入れに行くか!」って言いはじめて。