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「手に彫るから大丈夫だよ!」と言われ、断りきれず…

――どんな効果がある刺青なのでしょうか。

田中 「サックヤン」っていう刺青らしいんですけど、入れるとホン先生のご利益があるそうです。

――顎に刀を刺す儀式を断った手前、サックヤンは断りづらかった、ということでしょうか。

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田中 刺青も、一度は断ったんですよ。でも、「手に彫るから大丈夫だよ!」って言われて。結局断りきれなくて入れちゃいましたね。手だから彫っているときの感覚がすごくて、めちゃくちゃ痛かったです。

田中さんの手に彫られた「サックヤン」という刺青

――サックヤンは誰が彫るのでしょうか?

田中 基本的にはお坊さんですね。儀式をするところと同じ場所に、サックヤンを彫れる場所があるんですよ。

200体の呪物をどうやって供養しているのか

――田中さんの知り合いには、タイの呪術師やお坊さんなど呪術に詳しい方も多いですよね。そういった専門家から、呪物収集に関して何か言われたことはありますか?

田中 「節操ない」とはよく言われます。呪物って、悪いものじゃないんですよ。きちんと祀れば、福をもたらしてくれるんです。ただ裏を返すと、手を抜いた瞬間、不幸が訪れる可能性もあります。そんなリスクのあるものを何百と集めて、きちんと供養ができるのかって心配されることはありますね。

――実際に、どうやって200もの呪物を供養されているのでしょうか?

田中 オシラサマなど、明確な決まりがあるものはそれを守るようにしています。ただ、すべての呪物の決まりを守っていると、供養だけで1日が終わってしまうので、呪術師やお坊さんと相談して「ショートバージョンの供養」をしています。それでも、毎日1、2時間はかかっちゃうんですけどね。

 あとは、(前編に出てきた)手作りのコトリバコや呪いのアンティークドールのように、自然発生的に呪物になったものは明確な決まりがないんですよ。そういったものは、特別な供養はしていないけど、丁重に扱うようにはしていますね。

 

似たような背景を持っているから呪物同士で気が合うのでは?

――呪物を同じ場所に集めて、“喧嘩”になることはないのでしょうか。

田中 日本では、「神様と仏様を近くで祀ってはいけない」と言われていますもんね。僕は勘が鋭くないから実際のところは分からないけど、今のところはみんな仲良くしているように思います。