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――前編では、夢の中で呪いのアンティークドールとルクテープ人形が仲良くしていた、という話がありましたね。

田中 そうそう。あくまで僕の考えですけど、呪物ってみんな似たような背景を持っていると思うんですよね。人の恨みや嫉妬を込められて、「怖い怖い」って避けられて。だからこそ、呪物同士で気が合うんちゃうかなって。恨みや嫉妬を咎める呪物はいないだろうし。

「仲良くなりたいし、嫌われるのも怖い」呪物を集め続けるワケ

――では、仲間を増やしてあげたいから、呪物を集めているのでしょうか?

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田中 うーん、その理由も少しはあるけど、純粋に呪物が好きだからですね。気になる呪物を見つけたら、この目で見てみたいし、手に取ってみたい。ただ、「有名な呪物を手に入れたい」というよりも、「その呪物が呪物になった背景を知りたい。そして僕と気が合いそうだったら、家に迎え入れたい」って気持ちが強いかもしれません。

――呪物を「生き物」として見ているんですね。

田中 そうかも。だから、自分と気が合いそうだと思ったら仲良くなりたいし、嫌われるのも怖いんですよ。

 

メディアに出る機会が増えた今、感じていること

――田中さんは「呪物コレクター」として、ここ1年ほどさらにメディア出演が増えましたよね。もともとは趣味だった呪物収集が、どんどん公の場に出ていくことで感じている変化はありますか?

田中 人知れず趣味でやっていた頃はあまり意識していなかったのですが、表に出れば出るほど、言葉の使い方ひとつで誰かを傷つける可能性もあるな、と痛感していて。

 僕自身、かなりセンシティブなことをやっている自覚はあるんですよ。「できるだけ誰も傷つけないように発信しよう」とは思っていますが、人の死や不幸と密接に関わっている呪物を扱っている以上、誰かを傷つけてしまう可能性は拭えません。メディアに出る機会が増えたからこそ、そういった観点は忘れてはいけないな、と思っています。

 あともう1つ感じている変化があって。最近特にいろんなメディアに出させていただいているからか、「呪いたい人がいるから、呪物を貸してほしい」っていうDMが頻繁に来るんです。

――田中さんは、なんと返信しているのでしょうか……?

田中 「僕は呪術師じゃないから何かあっても責任が取れないので」と断っています。ただ、すごい数の相談が来るから、悩んでいる人がたくさんいるんだろうなって。

 誰かを呪い殺したいくらい悩んでいたら、ひとまず僕にDMをくれて大丈夫です。呪物は貸せないけど、それ以外で楽になれる方法を一緒に考えましょう。

 

撮影=山元茂樹/文藝春秋