「スペイシーの野郎、ぶっ殺してやりたいよ」
「スペイシーの野郎、ぶっ殺してやりたいよ」とスコット監督は苦笑い。
「プラマーのおかげでゲティは冷酷なだけじゃない、哀れな男としての深みが出た。孫の身代金は払わないくせに、ルネサンス期の聖母子の名画をポンと数億円で買ってしまう。それを誰にも見せない。でも幼いキリストの絵を見て『かわいい子だ』と涙するような寂しい男さ。シェイクスピアの『リア王』なんだ」
『リア王』の勇気ある娘コーデリアにあたるのが、ポールの母アビゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)だ。彼女は息子を救うため、ゲティに身代金を払わせようと奔走する。
スコット作品の女性はいつも賢く逞しく戦う。特に女性2人がダメ男を退治する『テルマ&ルイーズ』はフェミニズム映画の金字塔と呼ばれる。
「フェミニズムを意識したことはないが、ウチのお袋が強くて逞しかったんだよ。体もデカかったしね。私の映画の戦うヒロインは、みんなうちのお袋なんだ」
次回作はンドランゲタより恐ろしい、メキシコの麻薬カルテルの物語だそうだ。
リドリー・スコット/1937年イギリス・サウスシールズ生まれ。77年、『デュエリスト/決闘者』で映画監督デビュー。『エイリアン』(79)が大ヒットし、82年にSF映画の金字塔『ブレードランナー』を監督。2000年、『グラディエーター』でアカデミー賞作品賞を受賞。本作ではゴールデン・グローブ賞監督賞にノミネート。
INFORMATION
『ゲティ家の身代金』(配給:KADOKAWA)
5月25日(金)より全国公開
http://getty-ransom.jp/