1996年8月、人気絶頂期のオアシスがロンドン郊外で行った伝説のライヴをノーカットで収録。まさにライヴを追体験できる映画がやってきた。来夏15年ぶりの再結成も話題のオアシス。そのファンでなくても大興奮、と洋楽ファンのジャーナリスト・相澤冬樹も太鼓判!

『オアシス:ライブ・アット・ネブワース 1996.8.10』©Big Brother Recordings LTD

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オアシスファンでなくても楽しめる最高の映画

 お前らノリが足りないぜ。こっちだってシラケちまうだろ。観客が盛り上がってこそ、プレイにも気合いが入るってもんさ。

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 この映画はオアシスファンにはたまらない。ノエルとリアムのギャラガー兄弟を中心にしたイギリスを代表するロックバンド。セカンドアルバム『モーニング・グローリー』の世界的大ヒットでスターダムにのし上がった人気絶頂期の1996年8月、英史上最大規模の野外ライヴをロンドン北郊のネブワースで行った。その初日、1時間50分にわたるステージを、オープニングからアンコールまで完全ノーカットで丸々伝える。「リヴ・フォーエヴァー」「ワンダーウォール」「ホワットエヴァー」といったヒット曲がこれでもかと繰り出される。インタビューとか解説とか、そういう余計なものは一切ない。それもそのはず。これはブルーレイに収録されたフルライヴの1日目を日本独自で劇場公開用に処理したものなのだ。本国イギリスをはじめ海外では公開予定がない。大好きなオアシスのあるがままの姿を大スクリーンで楽しみたいファンには最高の映画だろう。

『オアシス:ライブ・アット・ネブワース 1996.8.10』©Big Brother Recordings LTD

 じゃあ、ファン以外の人にとっては面白くない? それが違うんだなあ。ファンじゃなくても楽しめる。たとえばこの僕。オアシスがブレイクした1995年、僕が何をしていたかといえば、NHK神戸放送局で兵庫県警担当記者だった。1月17日に起きた阪神・淡路大震災。6434人が犠牲になった大災害の取材が仕事のすべてになった。高校生でローリング・ストーンズにはまってからずっとロックを愛してきた僕も、この頃は音楽を楽しむ生活から遠ざかっていた。だからオアシスの曲をあまり聴いていないし、思い入れもない。映画を観ても知ってる曲は限られる。それでも……いいんですよ。