「感覚が麻痺してしまっていたと思います」
女性のあっせん以外にも、売春が禁止された国でも売春店を経営していた。オーナーを務めていたオーストラリアは性行為を伴う売春は合法で、ライセンスも得て法人登録もしていた。しかしその後、売春が違法のアメリカやカナダでも売春する女性をあっせんするようになった。
「オーストラリアで知り合った中国人から『アメリカのニューヨーク州では売春が合法』と聞いたんです。ホームページを検索すると『合法になるかも』という情報が書かれていたので、クライアントの言葉を信じて、それ以上、調べることはなかった」
性行為を伴うサービスとわかっていながらの職業あっせんは違法
しかしニューヨークでは売春は違法で、カナダは売春自体は違法ではないが買春が違法となっている。曖昧な情報をもとに、臼井被告はアメリカでもビジネスを始めたことになる。その理由を「オーストラリアは売春が合法なので、感覚が麻痺してしまっていたと思います」と語っている。
とはいえ臼井被告のグループは、LINEやWeChatを使って主に日本国内であっせん業務を行っていた。応募してきた女性や、スカウトから紹介された女性たちと連絡を取り合い、出入国時に売春目的と思われないように、注意事項の確認も行っていた。しかし日本では、性行為を伴うサービスとわかっていながらの職業あっせんは違法である。
多くの国で売春に関わった臼井被告は、月に平均で50~100万円、多い時で400万円を手にしていた。しかし被告によれば「赤字があるオーストラリアの店にシフトしていった」といい、自転車操業状態だったという。
裁判では、臼井被告はこれらのスキームをつくった「中心人物」として、検察が懲役3年を求刑。
一方、弁護側は、「売春あっせんというと借金のカタにさせられるという女衒というイメージが強いが悪質ホストの紹介は断っており、女性たちは自由意思で応募しており、安全に帰国するための配慮もあった」として、執行猶予を求めている。
判決は11月14日に下されることになる。